梅雨の晴れ間の庭で、ツマグロヒョウモンのオスとメスが、地面すれすれを飛んでいるのを目撃しました。
少しボケてしまっていますが、iPhoneであわてて撮ったので、これが精一杯でした。
急いで一眼レフカメラを取りに行ったのですが、庭に戻ったときにはもうツマグロヒョウモンはいなくなっていました。
チョウの写真を撮るのは本当に難しいです。
私が暮らす静岡県富士宮市には、「お祭りからお祭りまで」という言葉があります。お祭りとは、富士山本宮浅間大社の、5月4日~6日の流鏑馬祭と、11月3日~5日の例祭のことです。
つまり、「お祭りからお祭りまで」とは、「5月の流鏑馬祭から11月の例祭まで」、あるいは「11月の例祭から5月の流鏑馬祭まで」ということになります。
子供のころから、季節の区切りとしてこの言葉が用いられるのをよく耳にしてきました。
例えば、夏野菜の苗の植え付けは5月のお祭りまで、冬野菜の苗の植え付けは11月のお祭りまでにしないと、この地域ではうまく育ちません。逆に、4月下旬に夏野菜の苗を植えそびれてしまっても、「お祭りまでに植えれば間に合うよ!」と声をかけられたりします。
毛布や暖房器具や冬服も、5月のお祭りまでは片づけません。春めいてきても、4月末に突然寒くなったりするからです。5月のお祭りを待たずに暖房器具をしまうと、もう一度出してこなければならくなったりします。また、11月のお祭りを待たずに冷房器具や夏服をしまうと、10月末に突然暑くなったりして、これまた、もう一度出してこなければならなくなったりします。
お祭りを越してしまうと、季節が戻ることはまずありません。
5月のお祭りと11月のお祭りの時期は、二十四節気で言えば、立夏と立冬のころです。
またこの時期は、茶道の炉と風炉の入れ替えの時期でもあります。風炉の時期は5月~10月、炉の時期は11月~4月です。千利休は柚子の実が色づく頃に炉を開いたと伝えられています。
そのようなわけで、5月初めと11月初めというのは、全国的に見ても季節の節目になるのかもしれません。
しかし、東京で生活していたころ、わずか100キロ北上しただけで、この「お祭からお祭まで」が通用しないと感じました。東京では冬はもう少し早く到来するような気がします。11月3日~5日を待たずに、10月下旬に突然空気が変わる日があり、その日を境に一気に冬の佇まいになります。あの、突然空気がひんやりして、あらゆるものの透明度が増して、切ない気分になる雰囲気は、静岡では体験できません。
日本は北海道から沖縄まで南北に長いため、それぞれの土地で、どのようなタイミングで季節が変わるのか、とても興味があります。
11月のお祭りは、私にとって生活スタイルがガラッと変わる大事な時期です。さらに、野鳥の餌やりと生ごみ捨てが解禁になる、我が家にとって非常に重要な時期なのです!
私の庭では、縁側のすぐ向こうの庭にバードフィーダー(鳥の餌台)を設置し、冬の間はひまわりの種をおいて鳥を呼び、夏の間はブッドレアなど蝶が好む花を咲かせ、蝶を呼んでいます。そのため、この場所を「鳥蝶(ちょうちょう)の庭」と呼んでいます。
10月下旬までは蝶が飛んでいますが、11月のお祭りを過ぎるとパタッといなくなります。
一方、鳥は春から秋にかけては虫を食べるので、餌をあげるのは食べ物がなくなる冬の間、11月のお祭りから5月のお祭りまでにしています。
半年ぶりなので、うれしくていっぱいあげちゃいます。あげすぎ注意。
自作のコンポストボックスに生ごみを入れて堆肥にしています。
悪臭やハエが発生しないように、生ごみをコンポストボックスに入れるのは、冬の間だけ、11月のお祭りから5月のお祭りまでにしています。
半年ぶりなので、うれしくていっぱい捨てちゃいます。捨てすぎ注意。
今回の庭ノートは、私の庭に住んでいるカタツムリについてです。
こちらは、ニッポンマイマイ。
日本で一般的に「カタツムリ」と呼ばれているものです。殻の径は1センチくらいです。
このカタツムリは、私の庭では、アジサイの木の周辺に行くと見つけられます。アジサイの木の周辺にはコンクリートを使ったコンポストボックスや朽ちた木などがあり、おそらくそのあたりで生活しているのだと思います。
ちなみに、イラストでは定番ですが、アジサイの葉や花の上にカタツムリが乗っている姿は一度も見たことがありません。
そして、こちらはミスジマイマイ?
殻の径は3センチくらいです。ニッポンマイマイからすると、かなり大きいです。百円玉と比較するとこのくらいです。
こちらも住んでいる場所が決まっていて、いつも、トケイソウを絡ませたのフェンス付近で見つけられます。
そして、この度、庭で初めてキセルガイを見つけました!
最初は、海で拾ってきた貝殻が何かの具合で庭に落ちていたのだと思い、「いいもんみーっけ」と、拾って台の上に置いておいたのですが、数分経って、置いた場所が動いているというホラー現象に遭遇。
その後、頭をだして、カタツムリと判明した次第です!
貝殻の長さは2センチくらいです。
きれいな貝殻だと思って拾ったものにヤドカリが入っていたことはありましたが、カタツムリが入っていたのは初めてでした。
貝殻の形が煙管(キセル)に似ているので「キセルガイ」と呼ばれているそうです。
おそらく、ずっと前から住んでいたのでしょうが、私が庭で目撃したのは初めてのことでした。
最近、世界的な環境の変化か、局地的な環境の変化か、「お庭にカタツムリがいなくなってしまった」という声をよく聞きます。
そのような中でキセルガイを見つけ、うれしくなりました!
今回の庭ノートは、立春から数えて210日目の台風がよく来る厄日の風「二百十日の風」のお話です。
私は年間4つ、心待ちにしている風があります。春一番、薫風、二百十日の風、そして木枯らしです。
春一番は立春から春分の間にその年に初めて吹く南寄りの強い風、薫風は新緑の間を吹きぬける初夏のさわやかな風、二百十日の風は立春から数えて210日目の台風がよく来る厄日の風、木枯らしは太平洋側地域で晩秋から初冬の間に吹く北よりの強く冷たい風、です。
庭に吹いた春一番については、2017年3月5日の記事で紹介ました。
また、庭に吹いた薫風については、2017年5月20日の記事で紹介しました。
「二百十日の風」というのは、私が勝手にそうに呼んでいるだけで、「二百十日の風」という名前の風があるわけではありません。
立春から数えて210日目は、新暦の9月1日頃で、多くの地域で稲が開花する大事な時期ですが、台風が襲来する厄日とされています。また立春から数えて220日目も同じく厄日とされています。
この時期は、風神を祭って台風による稲作の被害や風水害がないように祈願する行事が全国各地で行われます。
富山県八尾町の風の盆は特に有名です。元来、旧暦7月15日を中心とするお盆の行事だったそうですが、二百十日頃の八朔行事と結びついて、新暦の9月1日から3日に風の盆祭りが行われます。越中おわら節の哀切漂う旋律にのって無言で男女が踊る姿は、非常に洗練されていて、訪れたときは異空間に迷い込んだような気分になりました。
薫風は静岡県が一番似合うと思いますが、二百十日の風は富山県が一番似合うと思います。
屋敷林を持つ家が点在する、富山県の砺波平野の散居村も、「風」のよさが全面に出た空間だと思います。
2017年の二百十日は9月1日、二百二十日は9月11日でした。
しかし、「二百十日の風」「二百二十日の風」と思える風が、立春から210日目や220日目にドンピシャで吹くことはあまりありません。
なので、私は9月から10月の間に吹くそれらしき風を「二百十日の風」としています。
今年は10月23日に台風第21号が来て、私が「二百十日の風」だと思える風が吹きました。
この風を心待ちにしているといっても、ウキウキ待っているわけではなく、被害が出ないように祈りながら、緊張して待ちます。五感を刺激する日本の多彩な自然の一つとして、受け止めて味わうといった感じです。
台風第21号が通過する15時間前に庭に吹いた風です。
南から吹いている弱い風ですが、いつも吹く風とは何かが違い、気持ちがざわざわします。天気予報を知らなくても、「何か来る」気配がするので、直観的に嵐の前だと気づきます。昔の人はこうやって察知していたのかな?と思ったりします。
台風第21号が通過した4時間後に庭に吹いた風です。
台風が北上し、北風に変わっています。まだ空模様があやしく、本当に過ぎ去ったのだろうか?という感じです。
台風第21号が通過した6時間後に庭に吹いた風です。
被害さえなければ、「祭りのあと」のような何とも言えない感覚になる風です。ほっとした、でも空虚な感じで、『風の又三郎』の高田三郎くんが転校していなくなっちゃった感じとでも言いましょうか。
庭の吹き溜まりも「二百十日の風」のなせる業です。
落ち葉と青い葉が混ざっているのがポイントで、8月の台風でも真冬の木枯しでも、このようなミックスリーフの吹き溜まりにはなりません。
そして、この富士山も「二百十日の風」のなせる業です。
9月から10月の台風一過では、たいてい、山肌が詳細にわかるこんな感じの富士山になります。
「四季の風」「風と風土」「風の指標」「風と人間」「風の利用」「宇宙から見る風」の6章から成り、個人的な感覚かもしれませんが、「間」を感じる、不思議な気持ちになる写真がいろいろ載っています。この本に紹介されているすべての場所に行って、風を体感してみたいと思わせる本です。
四季折々の美しい風の名前が載っています。風の作用やイメージを写した静止画なのに、どの写真からも風そのものを感じます。
謎の転校生「高田三郎」くんは、風の神様の子、風の又三郎だったのか!?
庭にタヌキが出ました!
庭仕事をしていたら、背後に気配を感じ、野良猫かと思って振り向いたら、なんとタヌキだったのです!
我が家の庭はそんなに広くはなく、タヌキが生息しているような環境ではありません。また、田舎とはいえ、住宅街で、近くに雑木林はありますが、野生の動物がうろついたり、夜になると出てきて畑や家庭菜園を荒らすほどの場所ではありません。
なので、庭でタヌキを目撃するというのは驚くべきことなのです!
人というのは想定外のことを認知するのに時間がかかるもので、最初は自分が何を見ているのか意味がわからず、タヌキと認知するまで結構な時間を要しました。
「カメラ持ってくるから待ってて!」と言ってダッシュで取りに行ったところ、本当に待っていてくれました!
こちらの写真、タヌキがどこにいるかわかりますか!?
ここです!
ではこちらの写真、タヌキがどこにいるかわかりますか!?
ここです!
陰からこちらを覗いている様子がすごくかわいくて、「the タヌキ」という感じです。
庭でタヌキを見たのは生まれて初めてのことでした!
小さいころから遊んでいて、表面上は知り尽くしたと思っている庭ですが、いまだに新しいことが起こり、わからないことがたくさんあります。
「庭十歩秋風吹かぬ隈もなし」という正岡子規の俳句があります
庭は本当に宇宙です。
司馬遼太郎原作の「NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲」の第5回「留学生」で、重病人の正岡子規が根岸の子規庵の縁側で庭を見ながら言う印象的なセリフがあります。
ナレーション「子規の天地は六畳の間と小さな庭でしかない。庭と言ってもたかが借家の小庭である。」
子規「わしにとってはこの小さな庭が全世界なんじゃ。じゃがこんな庭でも森羅万象、あらゆるものが学びとれる。」
NHK スペシャルドラマ 坂の上の雲 第1部 ブルーレイ BOX [Blu-ray]
子規の真意は私などに理解できるものではありませんが、庭にいると、そこは宇宙で森羅万象あらゆるものが学びとれると、心の底から思います。
庭になぜか風が吹き、しかも季節によって向きが変わること。多くの植物がなぜか一年で一周する生活サイクルを持っていること。動かないように見える蝶の蛹の中で、何かとんでもないことが起きていること。自分の長靴の下で、ある虫の一生が突然終わり、しかも踏んだ側に悪気はなく、踏んだことに気づいてすらいないこと。あのタヌキがどこかに住んでいて、どうにかこうにか私の庭にやってきたこと。挙げたらきりがありません。
庭から学ぶことは本当に多いです。
私の庭というか家にはヤモリが住み着いていて、毎年夏になると出没します。
たいてい、家の窓ガラスの外側にこのようなかたちで張り付いているのに出くわします。
近くで見るとこんな感じで、おなか丸見えです。
私は爬虫類はあまり好きではありませんが、ヤモリだけは特別で、見つけると、四つ葉のクローバーを見つけたときのようなハッピーな気持ちになります
ヤモリは漢字で「家守」や「守宮」ですが、その字の通り、家を守ってくれる縁起の良い生き物とされています。
ヤモリは、民家やその周辺で生息しています。日本では原生林などには生息していないため、郊外よりもむしろ都市部のほうがよく出会えるのかもしれません。
ヤモリは夜行性で、生きた虫を食べます。家にとって害になる虫を食べてくれるので、ありがたい生き物です。
昔は、夜に行灯などの灯りを灯せるのはお金持ちの家だけだったため、その光に集まる虫を食べにくるヤモリが居つくのはお金持ちの家でした。そのようなわけで、灯りがあるところに現れるヤモリは富の象徴だったそうです。今でも家が繁盛する守り神とされています。
我が家で暮らしているヤモリは一匹だけではありません。
ごくまれに家の中の壁で遭遇し、そんな時はさすがにヒヤッとしますが、ほとんどは家と庭の境で生活しています。
特に、手と、張り付いている手足の角度がかわいいです。
爬虫類が苦手な人にとっては、こんなのに家の周りをうろうろされたらたまったものではないかもしれませんが、縁起の良い、家の守り神です。我が家に出没してくれるのはとてもラッキーなことだと思い、大切に放置しています。
今回の庭ノートは、「ガビチョウ(画眉鳥)」が、ついに私の庭にも来たお話です!
まずは、この鳴き声をお聞きください。
ガビチョウ(画眉鳥)の鳴き声
5月に入ってから、毎朝5時にこの声で起こされています。
非常に美しい声なのですが、ほかの鳥と違ってかなりよく通る大きな声で、一度鳴き始めたら休憩することなく何分間も延々と鳴き続けます。
鳥のさえずりで目覚めるなんて幸せなことですが、ガビチョウの場合、「何!?何が起きたの!?」という感じで、若干起こされた感があります。
初めて聞く鳴き声だったので最初は何の鳥かわからず、「いったい何者なんだ!?」と思っていました。飛び立つ姿が見えたので野鳥図鑑で調べてみましたが、なかなか特定できません。鳴き声から特定しようと思いましたが、多彩すぎて調べようがありません。ついに顔を目撃して、ガビチョウと判明した次第です。
ガビチョウは、スズメ目チメドリ科に分類される、体長22~25センチくらいの鳥です。色は茶褐色でくちばしが黄色、目の周りとその後方に眉状に伸びた白い模様があるのが特徴です。京劇メイクのアイラインみたいです。
ガビチョウは中国南部から東南アジア北部にかけて生息していますが、日本ではペットとして輸入された個体が、かご脱けにより定着したそうです。特定外来生物に指定されているため、日本の野鳥図鑑には載っていないことが多いです。
七色と形容されるその美しい鳴き声から、中国では非常にポピュラーな飼い鳥で、日本でも古くから輸入されていたそうですが、人気がなくなってペットショップの店頭から姿を消したそうです。
日本では関東地方から分布を広げてきたようで、静岡県富士宮市にもいるという話は聞いていたのですが、私の家の周辺で見かけることはありませんでした。なので、ついに我が家に来た!という感じです。
ガビチョウは声がいいだけではなく、ほかの鳥の鳴きまねも上手で、ウグイス、キビタキ、オオルリ、サンコウチョウ、シジュウカラといった鳥のさえずりをまねるそうです。
私が目撃した時には、コジュケイのまねもしていました。
コジュケイのまねをしていると思われるガビチョウの動画(movファイル)
さらに、セミのツクツクボウシのまねもしていました!
ツクツクボウシのまねをしていると思われるガビチョウの動画(movファイル)
なんでセミ!?と思いますが、自分の歌のレパートリーを増やすためという説があるようです。
オスは鳴き声の優劣を競ってメスにアピールしますが、自分の歌のレパートリーが豊富ということは、それを維持できるだけの余裕があることの証明になり、そのため、ほかの生き物の鳴き声などを積極的に取り入れようとする傾向があるそうです。
あるいは、仲間とより良い関係を構築するためにレパートリーを増やしているのかもしれません。
ツクツクボウシだけでなく、ぜひ、ヒグラシのまねも習得してほしいです。
今回の庭ノートは、晩春に我が家の庭に咲く超個性派植物、ウラシマソウ(浦島草)についてです。独特な佇まいでその場を異空間にしてしまう上、性転換植物でもあるという、なんとも魅力的な植物です。
我が家の庭に咲く花は、季節によってキャラクターが全然違います。大まかにいうと、春に咲く花はふわっとした感じ、夏に咲く花ははつらつとした感じ、秋に咲く花はしっとりとした感じ、冬に咲く花はきりっとした感じです。
春に咲く花は全体としてふわっとした感じなのですが、時期によってさらにキャラクターを細分化することができます。
極めて個人的な印象になりますが、春前半に我が家の庭に咲く花は、素人ウケする優等生です。例えば、桃、モクレン、レンギョウ、桜、菜の花、アネモネ、ハナニラ、スイセン、ムスカリ、チューリップ、パンジー、ビオラ、など。
そして、これまた極めて個人的な印象になりますが、春後半に我が家に咲く花は、玄人ウケする個性派です。
例えば、クマガイソウ。
例えば、エビネ。
例えば、ホウチャクソウ。
その中でも、ひときわ異彩を放っている超個性派がウラシマソウです。
ウラシマソウ(Arisaema urashima)は、日本原産で、サトイモ科テンナンショウ属の多年草です。肉穂花序(にくすいかじょ)の先端の付属体が細く糸状に伸びていて、その姿を、浦島太郎の釣り竿の釣り糸に見たてて、この和名がついたといわれています。
英名は「コブラ・リリー・ウラシマ(cobra lily Urashima)」です。
地下にはサトイモに似た球根があり、春になると芽を伸ばして、傘のような大きな葉を広げます。そして、仏炎苞(ぶつえんほう)といわれる黒褐色の苞を開きます。
静岡県にある私の庭では、4月下旬から5月上旬にかけて開花します。耐陰性が強く、乾燥を嫌うため、木の陰など、少し薄暗いところに生えています。
子どもの頃、庭で遊んでいて、偶然このウラシマソウを見つけてしまったときの驚きといったらありません。出会ってはいけないものに出会ってしまったというか、見てはいけないものを見てしまったというか、何か異質なものが存在していてそこだけ時空がゆがむというか。
しかも、こんな集団に出くわしてしまったら「うわぁぁぁどーしよー」って感じです。
しかもこのウラシマソウ、性転換するんです!
ウラシマソウなどのテンナンショウ属の植物は、一般に性転換することで知られています。性転換は、成長や栄養の状態によって起こり、小型の個体は雄性となり、大型の個体は雄性から雌性に転換していきます。
黒褐色の仏炎苞は一見花のように見えますが、本来の花はこの仏炎苞の中の付属体の下についています。
ウラシマソウに中を見せてもらいました。
上の写真の左が雄性、右が雌性です。小型の個体では雄性となって、仏炎苞の内部の内穂花序に雄花群を形成します。大型の個体では雌性となって、肉穂花序に雌花群を形成します。
雄花から雌花への花粉の受粉はキノコバエの仲間によって行われます。キノコバエは、雄性の仏炎苞の開口部から進入し、雄花群の花粉を体につけて、仏炎苞の下にある隙間から脱出します。
しかし、雌性の仏炎苞には脱出できる隙間がありません。開口部から進入したキノコバエは、出口を探して雌花群をうろついている間に受粉させられ、脱出できずに死んでしまうこともあるそうです。
ウラシマソウの付属体が細長く糸状に伸びたもの(浦島太郎の釣り竿の釣り糸)については、なぜこのような構造になっているのか不明だそうですが、一説によると、先端が地面や草などに接していて、これをたどって虫が仏炎苞の中に入ってくるのではないかといわれています。
だとしたら、これは本当に釣り糸だということになります!
私は年間4つ、心待ちにしている風があります。春一番、薫風、二百十日の風、そして木枯らしです。
春一番は立春から春分の間にその年に初めて吹く南寄りの強い風、薫風は新緑の間を吹きぬける初夏のさわやかな風、二百十日の風は立春から数えて210日目の台風がよく来る厄日の風、木枯らしは太平洋側地域で晩秋から初冬の間に吹く北よりの強く冷たい風、です。
2017年は、2月20日に、私が住む東海地方に春一番が吹きました。
東海地方の春一番の条件は、
です。
なかなか厳しい条件で、年によっては春一番が観測されないこともあります。近年では、2015年と2014年、東海地方では春一番が観測されませんでした。
春一番という言葉は明るい印象ですが、要は春の嵐なので、危険な風でもあります。被害がでることもあるので注意が必要です。
しかし、数ある春到来のサインの中でも、春一番ほど「春が来た!」と思うものもありません。なにせ南風です!春一番が吹いた日は気温が上昇しますが、そのまま暖かくなっていくわけではなく、翌日は寒さが戻ります。
風向きを見るために、庭に風見鶏を立てています。風見鶏の下には東西南北の四方位が十字型で示されており、その十字の中心に取り付けられた鶏の向く方向によって風向きを知ることができます。風見鶏が風向(風上)を向いた時に回転が止まります。
2017年2月20日に我が家に吹いた春一番と、2月21日に吹いた寒の戻りの風の動画です。とても短い動画ですが、風が吹いてくる方向が真逆なことがわかります。画面の右側が南東、左側が北西です。
※ご覧になる環境によっては、画面が左に90度回転してしまう場合があるかもしれません(Windows Media Playerなど)。Quick Time Playerでは正常に見ることができると思います。
2月20日の風は春一番で、風見鶏が南東を向いているので、南の方から風が吹いていることがわかります。木も画面の右から左へあおられています。
2月21日の風は寒の戻りの風で、風見鶏が北を向いているので、北の方から風が吹いていることがわかります。木も画面の左から右へあおられています。
20日の春一番の南風と、21日の寒の戻りの北風、キャラが全然違います!動画では風の温度や湿度や雰囲気が伝わらないので残念です。
あるラジオ番組で、「NHKみんなのうたに『北風小僧の寒太郎』というのがありますが、もし『南風小僧の暖太郎』というのがいたとしたら、絶対チャラいと思います。」といった内容の投稿がありましたが、私も激しく同意です!21日の北風は精悍な感じでしたが、20日の南風、チャラかったです。
四季折々の美しい風の名前が載っています。風の作用やイメージを写した静止画なのに、どの写真からも風そのものを感じます。