投稿者「田中安良里」のアーカイブ

ニシキモクレン:花びらが両面折り紙のような絶妙な配色!真夏に咲くとまさに木に咲く蓮で、冬芽も美しい

基本情報

この花びらの配色、センスよすぎませんか!?

モクレンの花

花びらの外側は紫に近い濃いピンク色、内側は白に近い薄いピンク色で、両面折り紙のようです。

両面折り紙

ニシキモクレンは、シモクレン(紫木蓮)とハクモクレン(白木蓮)の交配種だそうです。

モクレン

品種にもよると思いますが、モクレンの花は、普通、3月か4月にこのような感じで花だけウワッと咲きます。

3月のモクレンの花
モクレンの写真

花が散った後、葉が出てきますが、7月、緑の葉が生い茂っているころに花が数個咲いたりします。

7月のモクレンの花


モクレンというと春の花というイメージが強いため、真夏に緑の葉っぱと同時にピンクのの花がつくのは、不思議な光景です。

7月のモクレンの花

真夏に、上を向いた大きな緑の葉と、同じく上を向いた大きなピンクの花を見て、なんだか蓮っぽいなと思い、「木に咲く蓮」で「木蓮」なのだ!と初めて気づきました。

事の由来を、頭で理解するのではなく、実際に感じた時の感動はひとしおです。

モクレンは冬も最高です。

1月にはもふもふの冬芽がつきます。

モクレンの冬芽の写真

芽は毛に覆われていてビロードのようです。

モクレンの冬芽は薬(生薬)にもなり、蓄膿症や鼻づまりに効くそうです。

そして、モクレンの葉はかさがあるため、落ち葉になるとざくざくしてたっぷり感があり、虫の布団ぽくなります。

モクレンの落ち葉

基本情報

名称モクレン(木蓮)
学名Magnolia liliiflora
科目モクレン科
原産地中国
形態落葉高木
草丈・樹高4~5メートル
花期3月~4月
耐寒性強い
耐暑性強い
管理

参考文献

中川重年/著(1991)『フィールド・ガイドシリーズ7 日本の樹木 上』小学館

船越亮二(1993)『失敗しない花木・庭木入門―代表150種の育て方・剪定のコツ』主婦の友社


サルスベリ:花の縮れ具合が絶妙!猿も滑る幹に、明るいピンクの花が百日咲く。ヨーロッパで見るとちょっと不思議な感じ

この花の縮れ具合、絶妙じゃないですか!?

サルスベリの花

縮緬のようにも見えますし、火を通したアワビの端っこのようにも見えます。

サルスベリは初夏から秋まで長期間花を咲かせてくれるため、花が少なくなりがちな真夏の庭が明るくしてくれます。

サルスベリの花の写真

花は何となくブーゲンビリアに似ていて、南の国の雰囲気です。

サルスベリの花

沖縄に憧れがあるため、ブーゲンビリアを育てたくて何回かチャレンジしましたが、ブーゲンビリアは寒さに弱いため、残念ながら私の庭では越冬できませんでした。

無理をしてブーゲンビリアを育てなくても、私が夏に求める雰囲気はサルスベリが十分醸し出してくれることに気づき、サルスベリへの感謝が増しました。

サルスベリの花の写真

サルスベリはその名の通り、猿ですら滑り落ちてしまいそうなほどのツルツルの樹皮の持ち主です。

サルスベリの幹

子供のころに「百日紅」は「サルスベリ」って読むんだよ!と言われすぎたせいか、「猿滑り」という漢字の印象が強すぎるせいか、サルスベリは日本的な木、アジア的な木と勝手に思い込んでいました。

そのため、ヨーロッパで見かけたときは本当に驚きました。

サルスベリの花とヨーロッパの建物

サルスベリは中国原産ですが、ヨーロッパでも人気があるそうです。

子供のころに植え付けられたイメージの払拭は難しいものです。

基本情報

名称サルスベリ(ヒャクジツコウ)(猿滑)(百日紅)
学名Lagerstroemia indica
科目ミソハギ科サルスベリ属
原産地中国、インド。日本には元禄年間に渡来。
形態落葉小高木
草丈・樹高5m
花期7~8月
耐寒性強い
耐暑性強い
管理剪定は11月下旬~3月
花が咲いた枝を付け根から切っていくことを3~4年続けるとコブ状になる。コブ状になったらこのコブを切り取る。
ひこばえは早めにかき取る。

参考文献

中川重年/著(1991)『フィールド・ガイドシリーズ7 日本の樹木 下』小学館

船越亮二(1993)『失敗しない花木・庭木入門―代表150種の育て方・剪定のコツ』主婦の友社


オリヅルラン:さわやかで清潔感があり、インテリイケメンのヘアースタイルのよう!ChatGPTでイメージ図を描かせてみた

このオリヅルラン、超かっこよくないですか!?

オリヅルラン

班入りの葉がさわやかで美しく、清潔感があって、エアリーで立体感があって、インテリイケメンのヘアースタイルみたいだな…と思っていつも眺めています。

「何言ってんだ?こいつ」と思った方のために、私がChatGPTで描かせたイメージ図をお見せします。

オリヅルラン

この髪の感じに似ていませんか!?というお話です。

ChatGPT、たった2回の指示で、ものの数十秒でこの絵を描いてきました。

オリヅルランは、丈夫で栽培が容易なことから、観葉植物としてとても人気があります。

ある程度成長すると、細長い花茎をのばして花穂をつけます。

オリヅルラン

1センチくらいの白い花が複数個所でまばらに咲きます。

オリヅルラン

オリヅルランは乾燥に非常に強いですが、水分が不足すると、水の蒸発を防ぐためか、葉が半分に折りたたまれます。

オリヅルラン

水のやりすぎで根腐れをおこしてしまうというのは、観葉植物を育てる際によくある失敗の一つですが、オリヅルランは水不足をわかりやすく知らせてくれるので、水のやりすぎを防げてありがたいです。

ランナーでよく増えるため、ランナーについた子株をはずして別の鉢に植え、室内のあちらこちらに置いています。

オリヅルラン

庭植えにしてグラウンドカバーにすることもできるようですが、寒さにやや弱いので、私の庭がある地域では屋外で冬を越すことはできません。

必然的に屋内で鉢植えで育てることになるのですが、草丈が高くならず、ランナーで子株が垂れ下がってくるため、やや高めのところに置くか、ハンギングで育てています。

そして、イケメンな雰囲気を味わうためには、上からではなく、斜め下か横から観賞するのがおすすめです。

オリヅルラン

それにしても、かっこいいです。

基本情報

名称オリヅルラン(折鶴蘭)
学名Chlorophytum comosum
科目キジカクシ科オリヅルラン属
原産地南アフリカ
形態常緑多年草
草丈・樹高5~30センチ
花期
耐寒性やや弱い
耐暑性強い
管理

参考文献

江尻光一(2004)『家庭園芸栽培大百科』家の光協会


スノーフレーク:デザインが細かすぎる!ランプシェードのような花でよく「スノードロップ」と間違えられている

「スノーフレーク」は、春に白いスズランのような白い花を咲かせ、「スズランスイセン」とも呼ばれています。

スノーフレークの写真

花の大きさは1.5センチくらいで、釣り鐘型の小さい花なのですが、よく見ると、ものすごく凝ったつくりになっています。

それぞれの花びらの先に、緑の斑点がついているんです!

スノーフレークの花

このデザイン、天才的すぎませんか!?

おしゃれなランプシェードみたいです。

スノーフレークの写真

ムスカリと花期が一緒なので、隣同士に植えておくと、スノーフレークの白とムスカリの紫のコントラストが効いて、お互いがよく映えます。

スノーフレークの草丈が30センチ程度、ムスカリの草丈が10センチ程度なので、観賞したい側から見て、ムスカリを手前、スノーフレークを奥に植えると、ちょうどよい雰囲気になります。

スノーフレークの写真

植えっぱなしですが、毎年よく咲いてくれています。

ちなみに、名前や佇まいが似ていてスノーフレークとよく混同される植物に、スノードロップがあります。

地域にもよると思いますが、私の庭では、スノードロップは2月の立春のころに咲き、スノーフレークは4月の清明のころに咲き、花期が全然違います。

スノードロップの写真

基本情報

名称スノーフレーク(スズランスイセン)
学名Leucojum aestivum
科目ヒガンバナ科
原産地ヨーロッパ南部
形態球根
草丈・樹高20~45cm
花期3月~4月
耐寒性強い
耐暑性休眠中
管理

参考文献

肥土邦彦/著, 植原直樹/写真(1995)『フィールド・ガイドシリーズ14 園芸植物 庭の花・花屋さんの花』小学館


ロウバイ:花びらの透け感とロウっぽさ半端ない!冷たい清潔な空気の中を漂う甘い香り

この花びらの質感、すごすぎませんか!?

ロウバイの花

ロウバイの花は直径2センチほどの半透明の淡い黄色で、とてつもない透け感なのに、ツルっとして少し硬そうな質感で、本当に蝋細工なのではないか!?と思うほどです。

花が蝋細工に似ているというのが、ロウバイ(蝋梅)という名前の由来の一つだそうです。

ロウバイの花

この蕾を摘み取って敷居に塗ったら、襖の滑りが良くなって、スコーンと開くのではないか!?というくらいの蝋っぽさです。

ロウバイの写真

しかし、見た目に反して、花びらはとても柔らかいです。

ロウバイの花

ロウバイの開花は1月頃ですが、毎年、視覚ではなく嗅覚で開花に気づきます。

香りが漂う空間が広く、香りの元を探って追いかけていくとロウバイの木にたどり着くという感じです。

ロウバイの花

開花時期が寒い季節のため、冷たくて清潔な空気の中を甘い香りが漂い、甘いのに清涼感があるという不思議な感じになります。

ロウバイの花の写真

しかし不思議なことに、切り花にして室内に生けるとそれほど香りは強くありません。

ロウバイの花

頂部の長く伸びた枝には花芽はほとんどつきません。

剪定を怠るとすぐにこのような状態になります。

5月頃、長さ3~4センチくらいの実(偽果)がなります。

基本情報

名称ロウバイ(蝋梅)
学名Chimonanthus praecox
科目クスノキ目ロウバイ科
原産地中国中部。江戸時代に渡来。
形態落葉低木
草丈・樹高2~4メートル
花期12月~2月
耐寒性強い
耐暑性強い
管理11月下旬~12月頃
花芽のない長い枝を切り詰める。
2~3本の枝幹を残し、地ぎわのひこばえを切る。
3月頃(花後)
花が咲き枝が長くなったものは5~6年くらいで強く切り詰める。

参考文献

中川重年/著(1991)『フィールド・ガイドシリーズ7 日本の樹木 上』小学館

船越亮二(1993)『失敗しない花木・庭木入門―代表150種の育て方・剪定のコツ』主婦の友社

土橋豊(2022)『人もペットも気をつけたい 園芸有毒植物図鑑』淡交社


霜降(2022年10月23日~11月6日)の庭の様子