小さいころ、両親からそれぞれヤブツバキでの遊び方を教わりました。母から教わったのは、ヤブツバキの花で作るおままごと用「椿の花の静岡おでん」、父から教わったのは、ヤブツバキの実で作る「椿笛」です。
祖母がツバキの花が好きだったため、庭にはツバキの木が何本か植えられています。どの品種もそれぞれ美しく、特に利休の時代から茶人が茶花として愛した「侘助」などは別格のたたずまいです。
そのような中でも、私が一番好きなのはヤブツバキです。日本国内のツバキの園芸種は2200種以上といわれていますが、ヤブツバキは日本を代表する原種です。原種ならではの健全な明るさがあり、何か人をほっとさせる力を持っているような気がします。
ヤブツバキの花は、11月から4月ころまで咲きます。直径5センチ~7センチくらいの深紅の花です。花びらは5枚で、基部がくっついているので、散らずにそのまま落ちます。
おままごと用 椿の花の静岡おでん
落ちたツバキの花を使った、おままごと用の静岡おでんの作り方を母から教わりました。母が子供だったころ、よくこれで遊んだそうです。
静岡おでんは、具が一本ずつ串に刺さっていて、静岡名物 黒はんぺんが入っているのが特徴です。「静岡おでんって何!?黒はんぺんって何!?」と思われた方はこちらをご参照ください。
材料
- ツバキの花(おでんの具用)
- ツバキの葉(お皿用)
- 松葉(黒はんぺん用、串用)
- 空き缶(直径7~8センチ、高さ5~6センチくらいのもの)
作り方
- ツバキの花びらを一枚ずつはがし、松葉に刺します。いろいろな品種の花びらを使うと、おでんの具が増えます。
- ツバキのおしべを2つか3つに裂いて、それぞれ松葉に刺します。おしべは基部がくっついているので、ばらばらにならずにきれいに裂くことができます。ヤブツバキのように、しっかりしたおしべがついている品種のほうがうまくいきます。
- 松葉のつながっている部分を軸にし、一方の葉の先端をもう一方の葉に刺して、静岡名物 黒はんぺんを作ります。
- 空き缶に、1~3で作ったおでんの具を入れます。
- おままごと用にそれぞれの具の値段を決めます。例えばこんな感じです。
- 松葉の黒はんぺん:3円
- 赤い花びら:5円
- 白い花びら:5円
- 赤×白の花びら:7円
- おしべ:10円
- お客さんが来たら、ツバキの葉のお皿に具をのせて渡します。
ツバキの実の笛
ヤブツバキの果実は直径5センチくらいで、果皮は厚くて、熟すと3つに裂けて、中から大きな種が出てきます。
種は2センチくらいの大きさです。
この種を使った笛の作り方を父から教わりました。父が小さいころは、ツバキの実以外にも、自然にあるさまざまなもので笛を作って遊んだそうです。
作り方
- ツバキの実をコンクリートにこすりつけて、一か所平らに削ります。やすりで削ってもよいです。
- 釘か楊枝で中をつついて、実をかき出し、空洞にします。
横笛を吹くように、椿笛の切り口に下唇をあて、上唇で覆うようにして息を吹き込みます。
こんな音がします。