投稿者「田中安良里」のアーカイブ

オリオン座のベテルギウス(平家星)が超新星爆発!?平家はいつ滅びるのか

オリオン座のα星「ベテルギウス」がまもなくなくなるといわれています。2010年に新聞などで報道されましたが、私は、2011年6月28日にNHK BSプレミアムで放送されたコズミックフロント「爆発直前!?赤い巨星・ベテルギウス」で詳細を知りました。

オリオン座のベテルギウスとリゲルは、和名で平家星(へいけぼし)、源氏星(げんじぼし)といわれています。岐阜県揖斐郡の山村で、赤色のベテルギウスを平家の赤旗、青白色のリゲルを源氏の白旗に見たてたのが由来のようです。

子供のころにそのことを知って以来、私はオリオン座のことを勝手に源平座としてきました。1等星のα星(ベテルギウス)が平家星、β星(リゲル)が源氏星、そして、その二つがはさむ5つの2等星(γ星、δ星、ε星、ζ星、κ星)が富士川です。私にとってベテルギウスは、こん棒を持つオリオンの右わきの下ではなく、平家なのです。

オリオン座の写真

オリオン座のベテルギウス(平家星)とリゲル(源氏星)

そしてここへきて、その平家が滅びるというのです!オリオン座を源平座としてきた私にとっては大事件です。

過去の超新星爆発で有名なのは、現在の「かに星雲」です。かに星雲は地球からおよそ7000光年離れた超新星残骸ですが、この星雲の元となった超新星爆発が1054年に出現したことが、藤原定家の『明月記』などの文献にも記録されています。超新星が出現したとき時は金星くらいの明るさになり、23日間にわたって昼間でも肉眼で見え、夜間はその後2年間も見えていたそうです。

ベテルギウスが爆発したらどうなるのでしょう!?2011年6月28日にNHK BSプレミアムで放送されたコズミックフロント「爆発直前!?赤い巨星・ベテルギウス」の内容をピックアップしてみます。

ベテルギウスの大きさは太陽の1000倍で、近年の観測で、巨大なコブを持ち、ガスを猛烈な勢いで吹き出す荒ぶる巨星だということがわかったそうです。一生の99.9%がすでに終わっていて、最後に大爆発するといわれています。

地球からベテルギウスまでの距離は、わずか640光年。超新星爆発が至近距離で起こるのは、10万年に一回あるかないかの現象で、かつてない天体ショーになるといわれています。

明日起こるかもしれない星の大爆発を待ち構えているのが岐阜県飛騨市のスーパーカミオカンデです。超新星爆発の直前には大量のニュートリノが放出されることが知られていて、世界のどこよりも早く爆発の兆候をとらえることができるそうです。爆発の兆候が見られたら、全世界の望遠鏡がベテルギウスに向けられます。

爆発したら、地球からはどのように見えるのかというと、まず、温度が急上昇するため、色が赤から青に変わります。3時間後、満月のおよそ100倍の明るさで輝き、昼間でも青空の中で明るくきらめきます。この明るさは3か月間続くそうです。4か月経つと温度が下がり、色は青からオレンジになり、さらに下がって赤くなります。4年後には肉眼で見えなくなり、オリオン座はベテルギウスを失います。

この爆発が地球環境に影響を及ぼすことはなさそうということでしたので、安心して観察できそうです。

2012年に起こるかもしれないという話がありましたが、2017年の今現在も起きていません。明日かもしれないし、数万年後かもしれません。ちなみに、現在地球上から見えるベテルギウスは640年前の姿なので、ひょっとすると実際のベテルギウスはすでに超新星爆発を起こして消滅していて、この宇宙にはもう存在していない可能性もあるってことですよね?

平家最後の時はいつ訪れるのでしょうか。。。

★★★★★★★★★★

2021年2月21日のニュースによると、ベテルギウスの超新星爆発は10万年以上先だとする結果を東京大学などの研究グループがまとめたそうです。

NHK NEWS WEB ベテルギウス「超新星爆発」は10万年以上先か 研究グループ

平家はまだ滅びません!

参考文献

NHK-DVD「コズミック フロント」DVD-BOX(DVD5枚+特典CD付)

NHK コズミック フロントのDVDです。放送された番組の中で特に人気があった回が収録されています。「爆発直前!?赤い巨星・ベテルギウス」は収録されていません。2012年にこのDVDが出て以降は番組のDVD化はされていないようです。

林完次(2010)『宙の名前 新訂版』角川書店.

天文学的な解説ではなく、月や星をはじめとする夜の空に関する言葉を、イメージ写真とともに紹介した歳時記風天体図鑑です。私が持っているのは1995年発行の光琳社出版のものです。1995年当時、今までにない新しいタイプの本だなと思った記憶があります。「源氏星」「平家星」に関する記述もあります。

自家製ミニ搾油器を作成!椿油と茶油をしぼる

自家製ミニ搾油器を作り、庭のツバキの実とチャの実を拾って、それぞれ、椿油と茶油をしぼってみました。いい油がとれました。

2017年3月20日の記事で、椿笛の話をしましたが、この笛を作るためにツバキの種を削って中身をかき出していたら、かなり油っぽくて、はからずも手や爪が潤いました。「これって、椿油じゃない!?」と当たり前のことに気づき、庭に落ちているツバキの種を拾って、椿油をしぼってみることにしました。

油のしぼり方についてはこちらの本を参考にしました。

鈴木修武(編集)宮崎秀人(イラスト)(2006)『油の絵本』農文協.

私の家には油をしぼるための機械がありません。市販の油しぼり器も売られていますが、そんなに大量にしぼるわけではないので、自家製ミニ搾油器をあるもので作ることにしました。

ホームセンターなどに売っている手のひらに乗るくらいの小さなジャッキを使います。そのジャッキに合う大きさの枠を作りました。

自家製ミニ搾油器の写真
自家製ミニ搾油器

椿油をしぼる

1.庭のツバキの種を拾い、洗って汚れを落として乾かします。

ヤブツバキの種の写真
ヤブツバキの種

2.プライヤーなどで、殻を割り、中身を取り出します。

殻をむいたツバキの種の写真
殻をむいたツバキの種

3.中身をさらに細かく砕き、ホットプレートを120℃にあたため、木べらでまぜながら5分くらい炒ります。熱を加えると、種の中の酵素の働きがとまり、たんぱく質がかたまって油が出やすくなるそうです。このときの温度が高すぎると、逆に酸化が進んでしまうそうです。

ツバキの種の中身を砕いて炒っている写真
ツバキの種の中身を砕いて炒る

4.ミキサーに数回かけてさらに細かくし、 ステンレスの網を張った入れ物に詰めます。入れ物は、直径8センチ、高さ5センチくらいの空き缶を使いました。空き缶の側面には、しぼった油が出てくるための小さな穴をあけておきます。通常はこの状態で搾油してよいようですが、油が出やすいように缶のまま少し蒸しました。

砕いて細かくしたツバキの種の中身の写真
砕いて細かくしたツバキの種の中身

5.自家製ミニ搾油器に、ツバキの種の中身を炒って砕いて蒸したものが入った缶を乗せます。その上に、ひとまわり小さい空き缶を乗せ、その中に空き缶に入る大きさの丸い木を、ふたとして何枚か重ねて入れます。その上にジャッキを乗せます。缶の側面にあけた穴の下に、油を受ける小さな容器を置きます。ジャッキを回し、圧力をかけて、渾身の力を込めてしぼります!

自家製ミニ搾油器で椿油をしぼっている写真
自家製ミニ搾油器で椿油をしぼる

6.油が滴り落ちてきました! しぼった油を容器から瓶に移します。とれた油はほんのわずかですが、大満足です!手につけたり、ツゲの櫛や尺八の手入れに使おうと思います。

完成した椿油の写真
完成した椿油

7.ツバキの種の殻としぼりかすは、コンポストボックスに入れて肥料にしました。たくさんの量のしぼりかすをまとめておいておくと、酸化熱で自然発火することがあるので注意が必要です。すぐにコンポストボックスに入れて土に返しました。

ツバキの種の殻の写真
ツバキの種の殻

茶油をしぼる

椿油がうまくできたので、庭に落ちていたお茶の実でも油をしぼってみることにしました!

チャは、ツバキと同じ、ツバキ科ツバキ属です。

実がついたチャの木の写真
実がついたチャの木

チャの種はヤブツバキの種よりも小さくて丸いです。

チャの種の写真
チャの種

椿油と全く同じ方法でしぼってみたところ、こちらもいい油がとれました!

左が茶油、右が椿油です。茶油はお茶の葉を蒸したときの匂いがします。使ってみた感じですが、椿油はまったりしていて、茶油はさらっとしています。

茶油と椿油の写真
茶油と椿油

油がどんなに貴重なものか、身にしみてわかりました。

参考文献・おすすめグッズ

鈴木修武(編集)宮崎秀人(イラスト)(2006)『油の絵本』農文協.

この「つくってあそぼう」シリーズ、本当にすばらしい絵本です。薄い本ですが、内容がとても充実していて、自力で何かしてみたいと思ったときの大きな助けになります。私が今回トライした椿油以外にも、菜種油、えごま油、オリーブ油などの作り方が載っています。

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木台豆ジャッキ

この豆ジャッキの活躍により、椿油と茶油をしぼることができました。


ヤブツバキで遊ぶ。おままごと用「椿の花の静岡おでん」と「椿笛」

ターシャ2級!?庭で採れた菜種から油を搾り、灯りをともす

ヤブツバキで遊ぶ。おままごと用「椿の花の静岡おでん」と「椿笛」

小さいころ、両親からそれぞれヤブツバキでの遊び方を教わりました。母から教わったのは、ヤブツバキの花で作るおままごと用「椿の花の静岡おでん」、父から教わったのは、ヤブツバキの実で作る「椿笛」です。

祖母がツバキの花が好きだったため、庭にはツバキの木が何本か植えられています。どの品種もそれぞれ美しく、特に利休の時代から茶人が茶花として愛した「侘助」などは別格のたたずまいです。

そのような中でも、私が一番好きなのはヤブツバキです。日本国内のツバキの園芸種は2200種以上といわれていますが、ヤブツバキは日本を代表する原種です。原種ならではの健全な明るさがあり、何か人をほっとさせる力を持っているような気がします。

ヤブツバキの写真

ヤブツバキの花は、11月から4月ころまで咲きます。直径5センチ~7センチくらいの深紅の花です。花びらは5枚で、基部がくっついているので、散らずにそのまま落ちます。

地面に落ちたヤブツバキの花の写真

おままごと用 椿の花の静岡おでん

落ちたツバキの花を使った、おままごと用の静岡おでんの作り方を母から教わりました。母が子供だったころ、よくこれで遊んだそうです。

静岡おでんは、具が一本ずつ串に刺さっていて、静岡名物 黒はんぺんが入っているのが特徴です。「静岡おでんって何!?黒はんぺんって何!?」と思われた方はこちらをご参照ください。

静岡おでんフェア

材料

  • ツバキの花(おでんの具用)
  • ツバキの葉(お皿用)
  • 松葉(黒はんぺん用、串用)
  • 空き缶(直径7~8センチ、高さ5~6センチくらいのもの)

作り方

  1. ツバキの花びらを一枚ずつはがし、松葉に刺します。いろいろな品種の花びらを使うと、おでんの具が増えます。
  2. ツバキのおしべを2つか3つに裂いて、それぞれ松葉に刺します。おしべは基部がくっついているので、ばらばらにならずにきれいに裂くことができます。ヤブツバキのように、しっかりしたおしべがついている品種のほうがうまくいきます。
  3. 松葉のつながっている部分を軸にし、一方の葉の先端をもう一方の葉に刺して、静岡名物 黒はんぺんを作ります。
  4. 空き缶に、1~3で作ったおでんの具を入れます。
  5. おままごと用にそれぞれの具の値段を決めます。例えばこんな感じです。
    • 松葉の黒はんぺん:3円
    • 赤い花びら:5円
    • 白い花びら:5円
    • 赤×白の花びら:7円
    • おしべ:10円
  6. お客さんが来たら、ツバキの葉のお皿に具をのせて渡します。

おままごと用 椿の静岡おでんの具の写真

おままごと用 椿の静岡おでんの具

椿の静岡おでんの写真

おままごと用 椿の静岡おでん

ツバキの実の笛

ヤブツバキの果実は直径5センチくらいで、果皮は厚くて、熟すと3つに裂けて、中から大きな種が出てきます。

ヤブツバキの果皮の写真

裂けて中の種が落ち、乾燥したヤブツバキの果皮

種は2センチくらいの大きさです。

ヤブツバキの種の写真

ヤブツバキの種

この種を使った笛の作り方を父から教わりました。父が小さいころは、ツバキの実以外にも、自然にあるさまざまなもので笛を作って遊んだそうです。

作り方

  1. ツバキの実をコンクリートにこすりつけて、一か所平らに削ります。やすりで削ってもよいです。
  2. 釘か楊枝で中をつついて、実をかき出し、空洞にします。

椿笛の写真

椿笛

横笛を吹くように、椿笛の切り口に下唇をあて、上唇で覆うようにして息を吹き込みます。

こんな音がします。

 

ナウシカの蟲笛(うなり笛)を作成!ダンゴ虫を森へ帰す

うなり笛を作りました!これは、2万5000年以上の歴史を持つ、世界で最も古い楽器の一つです。石器時代に、薄い骨の破片にひもをくくりつけて、頭上でぐるぐる回して音を作り出したのが最初だそうです。

メロディーやリズムは出ませんが、空中を回すスピードの変化によって、音の高さを変えることができます。

かつては宗教儀式の道具として使われ、風、雷、神、魂、祖先の叫び、といった音に見立てられていたようですが、今日ではおもちゃとして文明社会の中に存続しています。

この音は、虎落笛(もがりぶえ)や、電線などの細い棒に強い風が当たるときに出る音と同じ、エオルス音(aeolian sound)ということになるでしょうか。

虎落笛は、日本に古くからある言葉で、冬の季節風が柵や竹垣の狭いすき間を吹き抜ける時にヒューヒューとなる現象のことです。木枯らしが吹いて電線がなるのも同じ原理で、電線の風下にできる「カルマンの渦」とよばれる渦巻群が電線の振動を促し、「ヒューヒュー」という音をおこします。

ちなみに、エオルス音(aeolian sound)は古代ギリシアの風神アイオロス(Aeolus)にちなんで命名されたそうです。

この種の楽器では、オセアニアの伝統楽器である「うなり木」が有名ですが、日本にも同じ方法で音を出すおもちゃがあります。昔、縁日などで売られていた「鳥笛」で、手のひらに入るくらいのブリキ製の筒の側面に、細いスリット状の風切り穴をあけただけのシンプルな構造です。ひもをつけて回すと、ピッピッ~、ピューンピューン~となります。

このタイプのうなり笛を作ろうと思い、まず、その辺にあったプラスチックの容器で試作品を作ってみました。直径30mm×長さ50mmくらいのプラスチックの容器に3mm×40mmのスリットを入れて、ひもをつけました。

プラスチックの蟲笛(うなり木)の写真

ひもを持って回すとこんな音がします。

次に、その辺にあった金属で作ってみました。薄い銅の板をハサミで切って丸め、ハンダ付けしたものです。直径20mm×長さ50mmの筒で、3mmのスリットを入れて、ひもをつけてあります。

金属の蟲笛(うなり木)の写真

ひもを持って回すとこんな音がします。

宮崎駿監督の『風の谷のナウシカ』に「蟲笛」という笛が出てきます。主人公のナウシカが持っている、蟲を制御するための道具です。蟲笛は気流に当てると音を発し、蟲の怒りを鎮めることができます。ナウシカは、怒りに我を忘れた腐海最大の蟲「王蟲」を、蟲笛を使って森へ帰します。この蟲笛も、うなり笛の一種だと思われます。

私の庭には王蟲はいませんが、我が家は田舎にあり、家屋も庭に囲まれているため、家の中によく虫が入り込むことがあります。クモやムカデやダンゴ虫などです。彼らは益虫なので、殺すわけにはいきません。そこで、家に迷い込んで我を忘れたダンゴ虫を蟲笛を使って静め、森へ帰すことにしました。

「ダンゴ虫!! 森へお帰り ここはおまえの住む世界じゃないのよ」

ダンゴ虫の写真

蟲笛が効いたかは謎ですが、ダンゴ虫は森へ帰りました。

森へ帰るダンゴ虫の写真

おすすめの本

宮崎駿『 風の谷のナウシカ 全7巻箱入りセット』徳間書店

『風の谷のナウシカ』の原作漫画です。アニメーション映画しか見ていない方はぜひ読んでください!ストーリーが全く違います。話がもっと複雑でディープで大人向けです。全7巻ですが、第7巻が圧巻です。


豪華装丁本の2巻セットの方は、とても重厚感があり、古文書のように机の上に置いて姿勢を正して一ページずつ丁寧にめくって読む感じです。


坂根巌夫(1986)『新・遊びの博物誌〈1〉』朝日文庫

「アノモルフォーシス」「天上の音楽」「逆立ちからくり」「聴く時計」など、古今東西の芸術家や科学者たちの自由な発想が生んだ、愉快な遊びの数々を紹介した本です。「うなりの音具」についても載っています。この『遊びの博物誌』シリーズはロングセラーで、Kindle版も出ています!


皆川達夫 監修(1998)『楽器 歴史・形・奏法・構造』マール社

楽器事典です。古代から現代まで、世界各地のあらゆる楽器を網羅しています。写真ではなく図版で解説されているので、読んでいて疲れないです。機能・構造・特性・奏法・合奏形態がすべてわかる、楽器好きにとっては眺めているだけで楽しい本です。うなり木についても載っています。


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最近静岡県で増えているチョウについて。企画展「静岡のチョウ 世界のチョウ」

企画展「静岡のチョウ 世界のチョウ」

ふじのくに地球環境史ミュージアムの企画展「静岡のチョウ 世界のチョウ」に行ってきました。静岡に生息する全種のチョウと、世界各地のチョウの標本が展示されています。(平成28年12月10日~平成29年3月26日)

ふじのくに地球環境史ミュージアム 企画展「静岡のチョウ 世界のチョウ」

ふじのくに地球環境史ミュージアム「静岡のチョウ 世界のチョウ」の写真

私はチョウが大好きです。特に好きなのはアゲハチョウ科のチョウです。小さいころから、アゲハクロアゲハの幼虫を飼育したり、観察したりしてきました。今は、バタフライガーデンを庭づくりの柱の一つにしています。

アゲハチョウ科は大型のチョウです。種類や個体によって大きさは違いますが、成虫はだいたい5センチから10センチくらいでしょうか。幼虫は刺激臭を放つ臭角を持ちます。幼虫の食草はそれぞれ異なりますが、ミカン科の植物を食べるものが多いです。

日本産アゲハチョウ科21種のうち、ギフチョウウスバシロチョウジャコウアゲハアオスジアゲハアゲハキアゲハオナガアゲハクロアゲハ、モンキアゲハナガサキアゲハミヤマカラスアゲハカラスアゲハの12種が静岡県に生息しているそうです。ギフチョウとウスバシロチョウは残念ながら見たことがありませんが、それ以外のチョウは私の庭にもよく訪れます。

「静岡のチョウ 世界のチョウ」より、静岡県に生息するのアゲハチョウ科の写真

「静岡のチョウ 世界のチョウ」より、静岡県に生息するアゲハチョウ科

標本で見るチョウは図鑑で見るチョウとは全然違います。光沢感や透け感、方向や光による色合いの変化など、写真ではどうしてもわからない部分があります。本物はあり得ないほどの美しさです。

展示の中で一番興味深かったのが、静岡県で増えているチョウです。静岡から消えたチョウや減少しているチョウがいる一方で、増えているチョウもいます。

「静岡のチョウ 世界のチョウ」より、静岡で増えているチョウの写真

「静岡のチョウ 世界のチョウ」より、静岡で増えているチョウ

最近、庭で見かけるようになった蝶

ここ数年、庭で作業をしていると、見かけないチョウを目撃するようになりました。ナガサキアゲハツマグロヒョウモンアカボシゴマダラです。以前は静岡県富士宮市で目撃するなんてまずあり得なかったチョウです。いるはずのないものが庭にいて、初めて見た時は興奮して我が目を疑いました。この展示で、やはり静岡県で近年見られるようになったチョウだったことが確認できました。

ナガサキアゲハ

ナガサキアゲハはアゲハチョウ科のチョウで、日本産のチョウでは最大級の種類です。モンキアゲハに似ていますが、後翅に尾状突起がないのが特徴です。シーボルトが長崎で最初に採集したため「ナガサキアゲハ」というそうで、江戸時代には九州以南にしかいなかったチョウです。それが静岡県の私の庭にも現れたのです!

庭のカラタチの木のまわりを舞うナガサキアゲハの写真

庭のカラタチの木のまわりを舞うナガサキアゲハ

アゲハチョウ科が好きな私にとってはうれしい北上でした。ナガサキアゲハの幼虫はミカン科の葉を食べるので、ミカン類の木がある私の庭に産卵に訪れたのだと思います。

ツマグロヒョウモン

ツマグロヒョウモンはタテハチョウ科のチョウで、漢字で書くと「褄黒豹紋」です。1980年代までは近畿地方以西でしか見られなかったのが、徐々に生息域が北上し、1990年代に東海地方でも見られるようになったそうです。そして、静岡県の私の庭でもよく見かけるようになりました!

庭のヒャクニチソウにとまるツマグロヒョウモンの写真

庭のヒャクニチソウにとまるツマグロヒョウモン

ツマグロヒョウモンの幼虫の食草は野生のスミレ類ですが、パンジーやビオラなどの園芸種も食べるため、近年の栽培量の増加と人為的な移動が北上の要因と考えられているようです。もちろん温暖化も影響しています。

アカボシゴマダラ

アカボシゴマダラはタテハチョウ科のチョウで、日本本土には生息していなかったチョウです。もともとは中国大陸や奄美大島に生息するチョウですが、違法に国内に持ち込まれた個体を元に意図的に放蝶されたものが定着・拡大しているそうです。静岡県富士宮市の私の庭でこのチョウを目撃した時は本当に驚きました。

庭を通過するアカボシゴマダラの写真

庭を通過するアカボシゴマダラ

最初はキアゲハかと思ったのですが、キアゲハにしては飛び方がおかしいです。ゆったりと舞っていたため、アサギマダラか!?と思いなおしましたが、色が全く違います。とにかく撮影してよく見た結果、アカボシゴマダラと判明した次第です。

「世界のチョウ」の展示もすばらしかったです。私のおすすめは、ミイロタイマイスカシシジミタテハウラモジタテハです。人智を超えたデザインです!絶対見に行ってみてください! or 絶対検索してみてください!

 おすすめの本

海野和男(2011)『図鑑 世界で最も美しい蝶は何か』草思社

私が尊敬する昆虫写真家、海野和男さんの本です。世界3大美蝶のミイロタテハ、モルフォチョウ、トリバネアゲハを中心に構成されています。これらのチョウを見るために中南米やアマゾンの奥地へ行くのは非常に困難なことなので、美しいチョウを図鑑で見ることができて感謝です。フランスの蝶収集家、マダム・フルニエのフルニエコレクションも載っています!

今森光彦(2014)『世界のチョウ』アリス館

私が尊敬する写真家、今森光彦さんの本です。里山・琵琶湖畔の写真家として有名な方ですが、オーレリアン(チョウを愛する人たちのこと)でもあります。巻頭の、アマゾン川流域を旅した時の話がとても印象的でした。私のおすすめのチョウ、ミイロタイマイ、スカシシジミタテハ、ウラモジタテハも載っています!

マジメかつシュール。「ふじのくに地球環境史ミュージアム」の常設展

バタフライガーデン:蝶が集まる花を植える

バタフライガーデン:蝶が産卵に来る植物を植える(アゲハチョウ科)

バタフライガーデン:蝶が産卵に来る植物を植える(アゲハチョウ科以外)

精悍な北風とチャラい南風。春一番と寒の戻りの風

私は年間4つ、心待ちにしている風があります。春一番、薫風、二百十日の風、そして木枯らしです。

春一番は立春から春分の間にその年に初めて吹く南寄りの強い風、薫風は新緑の間を吹きぬける初夏のさわやかな風、二百十日の風は立春から数えて210日目の台風がよく来る厄日の風、木枯らしは太平洋側地域で晩秋から初冬の間に吹く北よりの強く冷たい風、です。

東海地方の春一番

2017年は、2月20日に、私が住む東海地方に春一番が吹きました。

東海地方の春一番の条件は、

  • 立春から春分の間
  • 地方気象台(名古屋、岐阜、津、静岡)のいずれかで南よりの風(東南東から西南西)が、最大風速8メートル以上で吹く
  • 最高気温が平年より高い
  • 日本海で低気圧が発達している

です。

なかなか厳しい条件で、年によっては春一番が観測されないこともあります。近年では、2015年と2014年、東海地方では春一番が観測されませんでした。

春一番という言葉は明るい印象ですが、要は春の嵐なので、危険な風でもあります。被害がでることもあるので注意が必要です。

しかし、数ある春到来のサインの中でも、春一番ほど「春が来た!」と思うものもありません。なにせ南風です!春一番が吹いた日は気温が上昇しますが、そのまま暖かくなっていくわけではなく、翌日は寒さが戻ります。

風向きを見るために、庭に風見鶏を立てています。風見鶏の下には東西南北の四方位が十字型で示されており、その十字の中心に取り付けられた鶏の向く方向によって風向きを知ることができます。風見鶏が風向(風上)を向いた時に回転が止まります。

風見鶏の写真

春一番と寒の戻りの風

2017年2月20日に我が家に吹いた春一番と、2月21日に吹いた寒の戻りの風の動画です。とても短い動画ですが、風が吹いてくる方向が真逆なことがわかります。画面の右側が南東、左側が北西です。

※ご覧になる環境によっては、画面が左に90度回転してしまう場合があるかもしれません(Windows Media Playerなど)。Quick Time Playerでは正常に見ることができると思います。

2月20日の春一番の動画

春一番の風の写真

2月20日の風は春一番で、風見鶏が南東を向いているので、南の方から風が吹いていることがわかります。木も画面の右から左へあおられています。

2月21日の寒の戻りの風の動画

寒の戻りの風の写真

2月21日の風は寒の戻りの風で、風見鶏が北を向いているので、北の方から風が吹いていることがわかります。木も画面の左から右へあおられています。

精悍な北風とチャラい南風

20日の春一番の南風と、21日の寒の戻りの北風、キャラが全然違います!動画では風の温度や湿度や雰囲気が伝わらないので残念です。

あるラジオ番組で、「NHKみんなのうたに『北風小僧の寒太郎』というのがありますが、もし『南風小僧の暖太郎』というのがいたとしたら、絶対チャラいと思います。」といった内容の投稿がありましたが、私も激しく同意です!21日の北風は精悍な感じでしたが、20日の南風、チャラかったです。

おすすめの本

高橋順子(2002)『風の名前』小学館.

四季折々の美しい風の名前が載っています。風の作用やイメージを写した静止画なのに、どの写真からも風そのものを感じます。

琉球音階のウインドチャイムを作成!沖縄の竹富の風に演奏してもらいました!

ナウシカの蟲笛(うなり笛)を作成!ダンゴ虫を森へ帰す

かわいいメジロが目白押し!みかんでメジロとヒヨドリを呼ぶ

 

梅の花が咲く1月中旬から2月にかけて、庭にはメジロがたくさんやってきます。

お目当ては梅の花の蜜です。メジロのもうひとつの大好物が果汁なので、梅の木の手前にあるツツジの枝に、半分に切ったみかんをさしてメジロにお裾分けしています。

メジロが訪れる梅の木の写真

メジロは、梅の花の蜜を吸って、みかんの果汁を吸って、と、梅の木とツツジの木の間を行ったり来たりします。

梅の蜜を吸うメジロの写真

みかんの果汁を吸うメジロの写真

梅にウグイスといいますが、梅の花+ウグイスの声が春を感じさせるということであって、梅の木にウグイスがくるわけではありません。ウグイスはふつう藪の中にいて、ほとんど目撃することはありません。私の庭にも、「ちょっと、うますぎない!?」と、いらしたお客様が会話を止めてまで言うほど鳴くのがうまいウグイスがいるのですが、残念ながら、このウグイスの姿は一度も見たことがありません。

多くの人は、ウグイス色というと、メジロのような明るい抹茶色を想像されるようですが、本当のウグイス色はもっと落ち着いた色です。ウグイスの体の色は、ぱっと見た感じではほとんど茶色で、よく見ると灰色がかった緑をしています。ウグイスもメジロもどちらもきれいな色です。

メジロは色もさることながら質感もすごくて、何素材!?と凝視してしまうほどです。

梅の木にとまるメジロの後ろ姿の写真

メジロには、お互いに押しあうように、ぴったりと枝に並ぶ習性があります。込み合っていることや物事が多くあることを意味する「目白押し」という慣用句は、ここからきているそうです。もふもふの体をぴったりくっつけて寄り寄りしていています。

メジロが目白押しの写真

エサ場では、ヒヨドリがメジロをよく追い払っています。体の小さいメジロは抵抗できません。たまにひどい追い立てられ方をしています。そんなわけもあり、我が家では、メジロを「メジロちゃん」と呼び、「ヒヨドリ」を「ヒヨ」と呼び捨てにしてしまっています。ヒヨドリも外ではきっと大変な思いをしているのでしょうが…。

「じょうのう(みかんの果肉が入っているふくろ)」のことを、静岡では「ほろ」と言いますが、ヒヨはみかんの果汁を吸うのではなく、ほろごと食べていきます。

みかんを食べるヒヨドリの写真

梅の花の蜜を吸って、みかんの果汁を吸って、たまにヒヨドリに追い払われ、枝の上で仲間とくっついて。メジロを見ていると、なんとも日本的な風景だなと思います。

梅の木に並んでとまるメジロ二羽の写真

おすすめの本

谷口高司(2013)『新・山野の鳥―野鳥観察ハンディ図鑑』日本野鳥の会.

写真ではなく絵の図鑑です。私が持っているのは1983年発行の3訂版ですが、絵が本当に美しいです。山野の鳥がコンパクトに載っています。薄くて軽くて、持ち歩くにも便利です。

ヤマケイハンディ図鑑7 新版 日本の野鳥 山溪ハンディ図鑑

写真の図鑑です。水辺の鳥と山野の鳥が両方載っています。厚くて重くて、部屋の中で眺めているとずっしりしあわせです。

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鳥の餌台を設置!ひまわりの種でヤマガラとシジュウカラを呼ぶ

庭にバードフィーダー(鳥の餌台)を設置し、冬の間、ひまわりの種をおいて野鳥を観察しています。

設置している場所は、縁側のすぐ向こうの庭です。

部屋の中や縁側から、訪れる野鳥を観察することができます。

下の写真の真ん中あたり、白い丸で囲ってあるのがバードフィーダーです。

バードフィーダの写真

縁側への出入り口のそばには、鳥セットを用意しています。

上はバードコール(鳥笛)、下は野鳥シートです。

バードコールと野鳥シートの写真

バードコールは木片と金属でできた筒で、こすり合わせた摩擦音で小鳥の鳴き声に似た音を出すことができます。

この音で鳥が集まります。

これを、小鳥の形をしたキーリングにつけて、巣箱型のケースに収納しています。

実はこのキーリング、ホイッスルになっています。

鳥笛に鳥笛をつけていることになります。

バードコールの写真

野鳥シートは日本鳥類保護連盟のものです。

下敷きタイプで、身近な鳥がB5サイズの両面にまとめられています。

壁につるしてあるので、見かけない鳥が訪れたときに、このシートですぐに確認することができます。

日本鳥類保護連盟の野鳥シート

餌は大粒ひまわりの種と黒ひまわりの種です。

餌の保管には、イギリスのバーゴン&ボール(Burgon & Ball)のBird Feed缶を使用しています。

BIRD FEED缶に入ったひまわりの種の写真

バードフィーダーには、大粒ひまわりの種と黒ひまわりの種のブレンドを置きます。

バードフィーダーのひまわりの種の写真

このひまわりの種を求めてバードフィーダーにやってくるのは、ヤマガラとシジュウカラです。

鳥は春から秋にかけては虫を食べるので、餌をあげるのは食べ物がなくなる冬の間だけです。

生態系を崩す心配、また病気の心配もあるので、餌のあげすぎには注意する、餌台は清潔に保つ、糞には絶対触らない、などのルールを作っています。

ヤマガラもシジュウカラも、同じスズメ目シジュウカラ科シジュウカラ属ですが、性格が全く違います。

我が家では、ヤマガラをモヒカン、シジュウカラをネクタイと呼んでいます。

ヤマガラは、頭の模様がモヒカンみたいです。

バードフィーダーにとまるヤマガラの頭の写真

よく言えば人懐っこくて賢いのですが、悪く言えば図々しくて行動が荒いです。

ものすごいスピードで飛んできて、いきなりバードフィーダーに着地します。

種の選び方もワイルドで、選び散らかして種を落としていったりします。

バードフィーダに着地するヤマガラの写真

シジュウカラは、黒いネクタイをしているように見えます。

バードフィーダーにとまるシジュウカラの写真

よく言えば控えめでお行儀がいいのですが、悪く言えば臆病です。

一番最初の写真にある、奥の梅の枝にまずとまり、その手前にあるツツジの枝に移動して、さらにその手前にあるブッドレアの枝に移動して、あたりを警戒しながらおそるおそるバードフィーダーに飛び移ります。

時々、まわりの気配にビビって種を落としていったりします。

種を落とす理由がヤマガラと180度違います。

バードフィーダーに乗るヤマガラとその様子をツツジの木の中からうかがうシジュウカラの写真です。

ヤマガラが去るのを待つシジュウカラの写真

なんか、性格がよく表れています。

どちらもかわいいですが、なぜかシジュウカラを応援してしまいます。

ヤマガラもシジュウカラも、種はバードフィーダーでは食べずに、くわえて近くの木に持って行きます。

木の枝の上で、足で種をおさえて、くちばしで殻を割って器用に中味を取り出して食べています。

枝の上でひまわりの種の殻を割るヤマガラの写真

おすすめの鳥グッズ

バードコール

鳥の声にそっくりな音が出ます。練習次第でかなり鳥の声に寄せることができます。

QUALY 鍵収納 キーリング Sparrow Keyring

これにバードコールをつけて保管していますが、本来は鍵をつけておくものです。色違いが何種類かあります。私が使っているのはブラウンハウス+ホワイトバードです。

ナチュラルペットフーズ 大粒ひまわり 500g

我が家に来る野鳥に大人気の種です。こちらの大粒ひまわりの種と下の黒ひまわりの種をバードフィーダに一緒に置くと、大粒ひまわりの種のほうが減りがはやいです。

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ナチュラルペットフーズ プレミアム 大粒ひまわり 550g
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ナチュラルペットフーズ 黒ひまわり 500g

大粒ひまわりの種よりも小さくて細くて、おしゃれな種です。

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黄色でハッピーになる!旧正月と立春を金柑と水仙で祝う

2017年1月28日は旧正月でした。私は旧暦と新暦の両方で暮らしています。

子供のころから、桃の節句や七夕などの季節の行事は旧暦でお祝いしています。新暦の桃の節句には桃が咲いていませんし、新暦の七夕には梅雨で星が見られません。旧暦でないと、季節の行事に必要なアイテムをそろえるのが難しいのです。

旧正月はその年によって新暦の何日になるか違いますが、だいたい新暦の1月下旬から2月中旬のどこかなので、私は、立春と合わせて、この期間をふわっとお祝いすることにしています。旧正月は旧暦の1月1日またはそれから始まる数日間で、立春は二十四節気における第一節です。

中国では、旧正月(春節)に、新しい年の吉祥を祈願する縁起物が飾られるそうですが、その中でもポピュラーなものが、富をもたらすと言われる金柑の鉢植え、良い香りが幸せを運ぶと言われる水栽培の水仙、だそうです。

私は金柑と水仙を和風にアレンジして取り入れています。

金柑は、この時期、3センチくらいの実がたくさんなって、見ているだけで明るく豊かな気持ちになります。

金柑の木の写真

中国のように鉢植えを飾るのではなく、実を収穫して甘煮にして食べています。直径12センチの琺瑯のお鍋に、ヘタと種をとった金柑を20個入れ、砂糖75gとはちみつ25gと水100ccを加えて、アクをとりながら20分煮るだけです。

鍋の中の金柑の甘煮の写真

白湯に入れたり、ヨーグルトに入れたり、トーストにのせたり、いろいろな方法で楽しむことができる優れものですが、高温でシブくいれた緑茶のお茶請けとしてそのまま食べるのが私のおすすめです。お茶(日本茶)+みかん(柑橘類)のことを、私は静岡セットと呼んでいます。この静岡セット、緑茶のカテキン+柑橘のビタミンCで、風邪予防にもなります。

金柑の甘煮と緑茶の写真

水仙は、中国の品種ではなく、和水仙を水栽培にしています。

和水仙は庭のあちらこちらに咲いていますが、増えてあまり球根が密集すると、葉だけが茂り、花が咲かなくなります。そのため、何年かに一度掘り起こして植えなおしています。

群生する水仙の写真

その掘り起こした球根を水栽培にして部屋の中で育てています。陶器やガラスの器に石を敷いて、その上に球根を置いて水を少しはるだけです。水栽培というと、ヒヤシンスやクロッカスが思い浮かびますが、清楚で品があって格が高い和水仙もおすすめです。

水仙の水栽培の写真

和水仙の香りは、甘いのに甘ったるすぎず、清涼感があるのに涼しすぎず、絶妙なバランスの香りです。嗅ぐと幸せな気持ちになります。

新暦の1月2月は一段と寒さが増し、少し鬱々とした気分になりがちです。金柑と水仙の黄色を見て香りをかぐと気分が晴れます。黄色には気持ちを明るくしてくれる効果があるそうです。節分の豆まきや柊鰯も大事ですが、邪気除けの後は、黄色で明るい気持ちを取り込むのもよいのではないかと思います。

水仙の花の写真

おすすめの本とアプリケーション

月読君

月の満ち欠けと日本の旧暦カレンダーを表示するアプリケーションです。昔は旧暦カレンダーを見て手帳に月齢を書き写していましたが、今ではこのスマートフォン用の便利なアプリを使っています。

くらしのこよみ

二十四節気と七十二候に沿って更新される暦アプリケーションです。自然の変化を表す七十二候の言葉をベースに、写真、絵、俳句、読みものなどで構成されています。巻物仕立てになっていて、作りも美しいです。

松村賢治(2010)『旧暦と暮らす』文芸春秋.

2002年にビジネス社から出た単行本の文庫版です。世の中が、今ほど二十四節気や七十二候にフォーカスを当てていなかったころ、いち早く旧暦で暮らすことを提唱した本です。やはり旧暦の方がアジアのくらしに合っているかも・・・と、旧暦で暮らしてみたくなる一冊です。

ヨハンナ・パウンガー/トーマス・ホッペ(1997)『月の癒し』飛鳥新社.

私が意識的に月の暦で暮らすきっかけになった本です。月の満ち欠けに順じた暮らし方については、真偽のほどはわからず、なかなか評価が難しい本ですが、オーストリアのチロル地方の農家に伝わる知恵として読むとおもしろいです。体を大切にして丁寧に暮らそうという気持ちにさせてくれる読み物です。

どくだみ茶:夏至にドクダミを摘みとり、乾燥させ、半夏生にどくだみ茶を飲む

私の庭は鉄不足!?フランスのパリ植物園で感じたこと

夏にフランスのパリ植物園(Le Jardin des Plantes)に行ってきました。

ここはパリ5区にある植物園で、1635年、ルイ13世の時代に王立薬草園として創設された歴史のある植物園です。23ヘクタール以上もある広大な敷地には、国立自然史博物館、温室、動物園も併設されています。

メインの整形式庭園には無料で入ることができます。植物園というより公園といった雰囲気です。ベンチでぼーっとする人、お散歩をする人、ジョギングをする人、太極拳をする人などもいて、パリの日常を垣間見ることができます。

パリ植物園の整形式庭園の写真

それにしても、さすがフランス。色彩感覚がすばらしいです。花もさることながら、葉の色合いと組み合わせが絶妙です。

パリ植物園のジニアの写真

この黄色いお花、ジニアだと思いますが、目を疑うようなレモンイエローでした。写真では少し違う色に写ってしまっているので残念です。明るいのに涼やかで洗練されていて、私は今までお目にかかったことのない色でした。このような色の品種なのだと思いますが、パリの冷涼な気候もこの美しい色を維持するのに大きく関係していると思います。

静岡でジニアやサルビアやマリーゴールドを育てると、とても元気に育ってはくれるのですが、なにかこう、暑くてだれてしまうというか、色が飛んでしまうような印象があります。軽井沢で見た、赤いサルビアと黄色いマリーゴールドの組み合わせが忘れられず、私の庭でも真似をして植えてみたのですが、思うような色合いが出ませんでした。この種の花を日本できれいに育てられる場所は、長野と北海道なのではないかと思います。

パリ植物園は温室もすばらしいです。アールデコスタイルの美しい外観ですが、中に入ると熱帯植物が生い茂る本気のジャングルです!パリにいることを忘れてしいます。

パリ植物園の温室の写真

アンリ・ルソー(Henri Julien Félix Rousseau)は、この温室に通って観察をし、「夢」などのジャングルをテーマとする絵を描いたそうです。

しかし、パリ植物園を訪れて私が一番感じたことは、自分の庭に圧倒的に鉄分が不足しているということです!

こちらは野生のミツバチのためのホテル。(Hôtel de charme pour les abeilles sauvages)

パリ植物園のミツバチのホテルの写真

とてもかわいらしい設計ですが、注目は点前のフェンスです。このフェンスを手で隠してみてください。フェンスがあった方が、なんかミツバチのホテルのクオリティが高く見えませんか!?フェンスのさび具合も絶妙です。

こちらは道具入れの小屋です。

パリ植物園の道具小屋の写真

黄色い円柱の建物に赤い窓枠、グレーのとんがり屋根と、とてもおしゃれな小屋ですが、注目は小屋の左の一輪車と手前の庭に点在している金属のプランツネームプレートです。金属がちょっと注入されるだけで庭が締まります。

ここにも、あそこにも、ふと目をやるとそこには鉄分が。

パリ植物園のリヤカーの写真

パリ植物園のプランツネームプレートの写真

鉄分が入るだけで、庭がぐっとこなれた印象になります。もともと、年月が経つと汚くなってしまうプラスチックより、使い込むほどに風合いが増す石や木や金属の方が好きでしたが、庭に金属が加わると、植物がより一層みずみずしく見えるなと、改めて思いました。私の庭にも、必要に応じてさらに鉄分を注入していこうと思いました。

おすすめの本

ジュウ・ドゥ・ポゥム(2014)『パリのガーデニング』主婦の友社.

パリの個人のお庭が紹介されています。庭がもう一つの部屋として機能しているのが印象的です。本の最後には、ガーデニング好きのためのパリのおすすめスポットも紹介されています。

松田行弘(2014)『フランスの庭、緑、暮らし』グラフィック社.

フランスの都会の庭や郊外の庭が紹介されています。庭に鉄分を注入するための教科書になる本です。巻末には、パリ市内や郊外、遠く離れた田舎町にある、庭を堪能するためのとっておきのスポットが紹介されています。