庭づくり・庭遊びのアイディア」カテゴリーアーカイブ

ありえない質感!美しすぎる白い花、私の庭の四大美女

今回の庭ノートは、庭に咲く、美しすぎる白い花についてです。

私の庭には、ツツジ、シャクナゲ、コデマリ、オルレア、シャクヤク、カサブランカなど、美しい白い花がたくさん咲きます。

カサブランカの写真

カサブランカ

ほかの色の花もそれぞれ素敵ですが、白い花は特別美人が多いような気がします。

その中でも、二度見するほど美しい、私にとって特別な花があり、中国四大美女にならって、私の庭の四大美女と呼んでいます。

ちなみに、中国四大美女とは、西施王昭君貂蝉楊貴妃の四人です。

西施(春秋時代):彼女が川で洗濯をする姿に見とれて魚たちは泳ぐのを忘れてしまったと言われる沈魚美人

王昭君(漢):琵琶をかき鳴らす彼女の姿と悲しい調べに魅入られて雁が次々に落ちてきたと言われる落雁美人

貂蝉(後漢):天下を憂いて物思いに耽る姿のあまりの美しさに、月が恥じて雲に隠れてしまったと言われる閉月美人

楊貴妃(唐):彼女が後宮を散歩すると庭の花が妃の美貌と体から発する芳香に気圧されてしぼんでしまったと言われる羞花美人

「虞や虞や 汝を奈何せん」の虞美人(秦末)が入っていない!?と思いますが、三国志で有名な貂蝉を抜いて虞美人を入れることもあるそうです。

魚が泳ぐのを忘れたり、雁が落ちてきたリ、月が隠れたり、花がしぼんだり、って、すごすぎです。

でも、私の庭に咲く白い花も負けていません!この世のものとは思えない美貌です。

ありえない質感なのですが、私の写真技術ではそれがお伝えできないのが残念です。本物を見れば、絶対触りたくなります!

クチナシ

クチナシの写真

クチナシ

この人、どうしたらいいんでしょう!ため息しか出ないです。花びらが外側にカールした感じが絶妙です。初夏の嵐の前のちょっと薄暗い不安な日がよく似合います。

フヨウ

フヨウの写真

フヨウ

何なんですか、この透け感!花の中央のほんのり黄緑がかった色合いも絶妙です。花びらと花びらの重なり方も計算しつくされていて、回転してそのまま吸い込まれる感じです。

シュウメイギク

シュウメイギクの写真

シュウメイギク

可憐すぎます!肉厚な花びらと、あえて花びらの形が一枚一枚違うところが絶妙です。計算ずくの不揃い!?よく見るとパールが入っていてキラキラ光っています。

ツバキ

ツバキの写真

ツバキ

このなめらかさ、何なんでしょう!品種がわからないのですが、ほかのツバキにはない質感です。一枚一枚の花びらが繊細でしっとりしているにもかかわらず、ありえない枚数重なっていて、贅沢仕様です。

ご紹介した私の庭の四大美女の写真、ベストショットではないので、もっといい写真が撮れたら、随時差し替えようと思います。

極上の味!八十八夜に庭のチャの木で茶摘みをして煎茶を作って飲む

今回の庭ノートは、八十八夜に庭のチャの木で茶摘みをして、電子レンジとホットプレートで蒸し製煎茶を作ったら、とてつもなくおいしかったというお話です。

静岡県は、全国の茶園面積、収穫量の40%を占める、日本一の茶どころです。同じ静岡県内でも、富士・沼津、清水、本山、牧之原、川根、掛川、天竜と、地区によって製法や味にそれぞれ違いがあり、さまざまな高品質の日本茶を楽しむことができます。

富士山と茶畑の写真

私は静岡県に住んでいるため、身近にすばらしいお茶屋さんがたくさんあり、プロが作った最高においしいお茶を毎日飲んでいます。

しかし、庭にチャの木が2本あり、いったいどんな味がするのだろうと気になったので、八十八夜に自分で茶摘みをし、自家製のお茶(蒸し製煎茶)を作って飲んでみることにしました。

八十八夜は立春から数えて88日目ということです。2017年の八十八夜は5月2日です。このころは、新茶の摘みとりの時期で、八十八夜に摘んだ新茶を飲むと長生きをすると言われています。

庭のチャの木は垣根を兼ねた庭木として植えられているため、茶園でおなじみのかまぼこ型ではありません。樹高1メートルくらいの普通の木です。

一芯二葉(新芽の真ん中の芽と葉2枚)を手で摘みます。

一芯二葉の写真

生葉100gを摘みました。

チャの生葉の写真

緑茶、ウーロン茶、紅茶は、同じチャの木の葉から作られます。違いは、チャの葉を発酵させるかどうかです。全く発酵させないと緑茶、50%程度発酵させるとウーロン茶、100%発酵させると紅茶になります。

チャの生葉には酵素が含まれていて、そのままにしておくとどんどん酸化して茶色くなります。緑茶の場合、摘んだらできるだけ早く熱を加えて、酸化を止めます。これを殺青といいます。

殺青には蒸す方法と炒る方法があります。日本のほとんどのお茶は、蒸し製煎茶です。蒸気で茶葉の酵素を殺青し、もみながら乾燥して、最終的に細くもんで針状のお茶に仕上げます。これに対して、中国式の製法である釜炒り茶は表面温度300℃くらいの釜で炒って殺青します。

今回は蒸し製煎茶を作ってみることにしました。

作り方は下記の本を参考にしました。

増澤武雄(編集)、山福朱実(イラスト)(2007)『茶の絵本』農文協.

緑茶の製造工程は、大きく、殺青→揉捻→乾燥に分けられます。さらに細かい製造工程に分けられ、手揉みには非常に高度な技術が必要ですが、家庭で楽しむには、とりあえず蒸して揉んで乾燥すればいいということになります。

①殺青

チャの生葉にラップをかけて、1分30秒くらい電子レンジにかけて蒸します。

チャの生葉を電子レンジで蒸す写真

敷物の上で冷まします。

蒸した生葉の写真

120℃のホットプレートで、よく混ぜながら蒸し露と茶葉の水分の一部を飛ばします。

揉捻の写真

②揉捻

敷物の上で茶葉を揉んでは100℃~120℃のホットプレートで水分を飛ばす、を繰り返します。

軽く揉みながら乾燥

揉捻の写真

強く揉みながら乾燥

揉捻の写真

形を整えて揉みきり

揉捻の写真

③乾燥

100℃~120℃に調節したホットプレートでに和紙を敷き、茶葉を薄く広げて乾かします。

茶葉の乾燥の写真

出来上がり

揉みきりが難しく、針のようなまっすぐな形には仕上がりませんでしたので、蒸し製玉緑茶みたいな感じになりました。

茶摘みから完成まで、2時間半くらいでした。100gの生葉から25gのお茶ができました。

さっそく試飲です。

茶葉1人3g、よく沸騰させて70℃に冷ましたお湯1人60mlで、浸出時間は2分にしました。

一煎目の写真

一煎目

普通にお茶です!というより、その辺のおいしくないお茶よりおいしいというか、その辺のおいしいお茶よりおいしいです!

もっと草っぽい野性味あふれる味だと思っていたので驚きでした。自家製のお茶というものは、いい意味で「田舎のお茶」という味がしますが、田舎っぽさもなく、スノッブさもなく、何ともバランスがとれたお茶でした。

香りもよく、生臭くも焦げ臭くもありません。色もしっかり出ていますが濁りがなく美しいです。味は、まろやかであまく、玉露のようなヌメリが若干あり、ほんの少し渋みがあって、にもかかわらず爽やかです。味がしっかり出ているのにしつこくないです。新茶ならではのやさしさもあります。何より、雑味がなく、生粋のお茶という感じです。

一煎目は新茶のまろやかさが、二煎目は新茶のさわやかさが際立ちました。

二煎目の写真

二煎目

なんかすごい自画自賛になってしまいました。

技術がないのにおいしくできた秘訣は、機械ではなく手摘み手揉みでやったこと、短時間で茶摘みから飲むところまでを一気にやったこと、八十八夜にやったこと、一人で雑念なしでやったこと、庭のチャの木に対してリスペクトの心があったこと、かなと思っています。

おすすめの本

増澤武雄(編集)、山福朱実(イラスト)(2007)『茶の絵本』農文協.

農文協のつくってあそぼうシリーズはすばらしいです。茶の起源や歴史、種類などが、わかりやすくまとめられています。蒸し製煎茶のほかにも、釜炒り茶、包種茶、紅茶の作り方も載っています。

天から香水をまいたような高貴な香り!柑橘の花の香りをモイストポプリで閉じ込める

自家製ミニ搾油器を作成!椿油と茶油をしぼる

自家製ミニ搾油器を作り、庭のツバキの実とチャの実を拾って、それぞれ、椿油と茶油をしぼってみました。いい油がとれました。

2017年3月20日の記事で、椿笛の話をしましたが、この笛を作るためにツバキの種を削って中身をかき出していたら、かなり油っぽくて、はからずも手や爪が潤いました。「これって、椿油じゃない!?」と当たり前のことに気づき、庭に落ちているツバキの種を拾って、椿油をしぼってみることにしました。

油のしぼり方についてはこちらの本を参考にしました。

鈴木修武(編集)宮崎秀人(イラスト)(2006)『油の絵本』農文協.

私の家には油をしぼるための機械がありません。市販の油しぼり器も売られていますが、そんなに大量にしぼるわけではないので、自家製ミニ搾油器をあるもので作ることにしました。

ホームセンターなどに売っている手のひらに乗るくらいの小さなジャッキを使います。そのジャッキに合う大きさの枠を作りました。

自家製ミニ搾油器の写真
自家製ミニ搾油器

椿油をしぼる

1.庭のツバキの種を拾い、洗って汚れを落として乾かします。

ヤブツバキの種の写真
ヤブツバキの種

2.プライヤーなどで、殻を割り、中身を取り出します。

殻をむいたツバキの種の写真
殻をむいたツバキの種

3.中身をさらに細かく砕き、ホットプレートを120℃にあたため、木べらでまぜながら5分くらい炒ります。熱を加えると、種の中の酵素の働きがとまり、たんぱく質がかたまって油が出やすくなるそうです。このときの温度が高すぎると、逆に酸化が進んでしまうそうです。

ツバキの種の中身を砕いて炒っている写真
ツバキの種の中身を砕いて炒る

4.ミキサーに数回かけてさらに細かくし、 ステンレスの網を張った入れ物に詰めます。入れ物は、直径8センチ、高さ5センチくらいの空き缶を使いました。空き缶の側面には、しぼった油が出てくるための小さな穴をあけておきます。通常はこの状態で搾油してよいようですが、油が出やすいように缶のまま少し蒸しました。

砕いて細かくしたツバキの種の中身の写真
砕いて細かくしたツバキの種の中身

5.自家製ミニ搾油器に、ツバキの種の中身を炒って砕いて蒸したものが入った缶を乗せます。その上に、ひとまわり小さい空き缶を乗せ、その中に空き缶に入る大きさの丸い木を、ふたとして何枚か重ねて入れます。その上にジャッキを乗せます。缶の側面にあけた穴の下に、油を受ける小さな容器を置きます。ジャッキを回し、圧力をかけて、渾身の力を込めてしぼります!

自家製ミニ搾油器で椿油をしぼっている写真
自家製ミニ搾油器で椿油をしぼる

6.油が滴り落ちてきました! しぼった油を容器から瓶に移します。とれた油はほんのわずかですが、大満足です!手につけたり、ツゲの櫛や尺八の手入れに使おうと思います。

完成した椿油の写真
完成した椿油

7.ツバキの種の殻としぼりかすは、コンポストボックスに入れて肥料にしました。たくさんの量のしぼりかすをまとめておいておくと、酸化熱で自然発火することがあるので注意が必要です。すぐにコンポストボックスに入れて土に返しました。

ツバキの種の殻の写真
ツバキの種の殻

茶油をしぼる

椿油がうまくできたので、庭に落ちていたお茶の実でも油をしぼってみることにしました!

チャは、ツバキと同じ、ツバキ科ツバキ属です。

実がついたチャの木の写真
実がついたチャの木

チャの種はヤブツバキの種よりも小さくて丸いです。

チャの種の写真
チャの種

椿油と全く同じ方法でしぼってみたところ、こちらもいい油がとれました!

左が茶油、右が椿油です。茶油はお茶の葉を蒸したときの匂いがします。使ってみた感じですが、椿油はまったりしていて、茶油はさらっとしています。

茶油と椿油の写真
茶油と椿油

油がどんなに貴重なものか、身にしみてわかりました。

参考文献・おすすめグッズ

鈴木修武(編集)宮崎秀人(イラスト)(2006)『油の絵本』農文協.

この「つくってあそぼう」シリーズ、本当にすばらしい絵本です。薄い本ですが、内容がとても充実していて、自力で何かしてみたいと思ったときの大きな助けになります。私が今回トライした椿油以外にも、菜種油、えごま油、オリーブ油などの作り方が載っています。

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木台豆ジャッキ

この豆ジャッキの活躍により、椿油と茶油をしぼることができました。


ヤブツバキで遊ぶ。おままごと用「椿の花の静岡おでん」と「椿笛」

ターシャ2級!?庭で採れた菜種から油を搾り、灯りをともす

ヤブツバキで遊ぶ。おままごと用「椿の花の静岡おでん」と「椿笛」

小さいころ、両親からそれぞれヤブツバキでの遊び方を教わりました。母から教わったのは、ヤブツバキの花で作るおままごと用「椿の花の静岡おでん」、父から教わったのは、ヤブツバキの実で作る「椿笛」です。

祖母がツバキの花が好きだったため、庭にはツバキの木が何本か植えられています。どの品種もそれぞれ美しく、特に利休の時代から茶人が茶花として愛した「侘助」などは別格のたたずまいです。

そのような中でも、私が一番好きなのはヤブツバキです。日本国内のツバキの園芸種は2200種以上といわれていますが、ヤブツバキは日本を代表する原種です。原種ならではの健全な明るさがあり、何か人をほっとさせる力を持っているような気がします。

ヤブツバキの写真

ヤブツバキの花は、11月から4月ころまで咲きます。直径5センチ~7センチくらいの深紅の花です。花びらは5枚で、基部がくっついているので、散らずにそのまま落ちます。

地面に落ちたヤブツバキの花の写真

おままごと用 椿の花の静岡おでん

落ちたツバキの花を使った、おままごと用の静岡おでんの作り方を母から教わりました。母が子供だったころ、よくこれで遊んだそうです。

静岡おでんは、具が一本ずつ串に刺さっていて、静岡名物 黒はんぺんが入っているのが特徴です。「静岡おでんって何!?黒はんぺんって何!?」と思われた方はこちらをご参照ください。

静岡おでんフェア

材料

  • ツバキの花(おでんの具用)
  • ツバキの葉(お皿用)
  • 松葉(黒はんぺん用、串用)
  • 空き缶(直径7~8センチ、高さ5~6センチくらいのもの)

作り方

  1. ツバキの花びらを一枚ずつはがし、松葉に刺します。いろいろな品種の花びらを使うと、おでんの具が増えます。
  2. ツバキのおしべを2つか3つに裂いて、それぞれ松葉に刺します。おしべは基部がくっついているので、ばらばらにならずにきれいに裂くことができます。ヤブツバキのように、しっかりしたおしべがついている品種のほうがうまくいきます。
  3. 松葉のつながっている部分を軸にし、一方の葉の先端をもう一方の葉に刺して、静岡名物 黒はんぺんを作ります。
  4. 空き缶に、1~3で作ったおでんの具を入れます。
  5. おままごと用にそれぞれの具の値段を決めます。例えばこんな感じです。
    • 松葉の黒はんぺん:3円
    • 赤い花びら:5円
    • 白い花びら:5円
    • 赤×白の花びら:7円
    • おしべ:10円
  6. お客さんが来たら、ツバキの葉のお皿に具をのせて渡します。

おままごと用 椿の静岡おでんの具の写真

おままごと用 椿の静岡おでんの具

椿の静岡おでんの写真

おままごと用 椿の静岡おでん

ツバキの実の笛

ヤブツバキの果実は直径5センチくらいで、果皮は厚くて、熟すと3つに裂けて、中から大きな種が出てきます。

ヤブツバキの果皮の写真

裂けて中の種が落ち、乾燥したヤブツバキの果皮

種は2センチくらいの大きさです。

ヤブツバキの種の写真

ヤブツバキの種

この種を使った笛の作り方を父から教わりました。父が小さいころは、ツバキの実以外にも、自然にあるさまざまなもので笛を作って遊んだそうです。

作り方

  1. ツバキの実をコンクリートにこすりつけて、一か所平らに削ります。やすりで削ってもよいです。
  2. 釘か楊枝で中をつついて、実をかき出し、空洞にします。

椿笛の写真

椿笛

横笛を吹くように、椿笛の切り口に下唇をあて、上唇で覆うようにして息を吹き込みます。

こんな音がします。

 

ナウシカの蟲笛(うなり笛)を作成!ダンゴ虫を森へ帰す

うなり笛を作りました!これは、2万5000年以上の歴史を持つ、世界で最も古い楽器の一つです。石器時代に、薄い骨の破片にひもをくくりつけて、頭上でぐるぐる回して音を作り出したのが最初だそうです。

メロディーやリズムは出ませんが、空中を回すスピードの変化によって、音の高さを変えることができます。

かつては宗教儀式の道具として使われ、風、雷、神、魂、祖先の叫び、といった音に見立てられていたようですが、今日ではおもちゃとして文明社会の中に存続しています。

この音は、虎落笛(もがりぶえ)や、電線などの細い棒に強い風が当たるときに出る音と同じ、エオルス音(aeolian sound)ということになるでしょうか。

虎落笛は、日本に古くからある言葉で、冬の季節風が柵や竹垣の狭いすき間を吹き抜ける時にヒューヒューとなる現象のことです。木枯らしが吹いて電線がなるのも同じ原理で、電線の風下にできる「カルマンの渦」とよばれる渦巻群が電線の振動を促し、「ヒューヒュー」という音をおこします。

ちなみに、エオルス音(aeolian sound)は古代ギリシアの風神アイオロス(Aeolus)にちなんで命名されたそうです。

この種の楽器では、オセアニアの伝統楽器である「うなり木」が有名ですが、日本にも同じ方法で音を出すおもちゃがあります。昔、縁日などで売られていた「鳥笛」で、手のひらに入るくらいのブリキ製の筒の側面に、細いスリット状の風切り穴をあけただけのシンプルな構造です。ひもをつけて回すと、ピッピッ~、ピューンピューン~となります。

このタイプのうなり笛を作ろうと思い、まず、その辺にあったプラスチックの容器で試作品を作ってみました。直径30mm×長さ50mmくらいのプラスチックの容器に3mm×40mmのスリットを入れて、ひもをつけました。

プラスチックの蟲笛(うなり木)の写真

ひもを持って回すとこんな音がします。

次に、その辺にあった金属で作ってみました。薄い銅の板をハサミで切って丸め、ハンダ付けしたものです。直径20mm×長さ50mmの筒で、3mmのスリットを入れて、ひもをつけてあります。

金属の蟲笛(うなり木)の写真

ひもを持って回すとこんな音がします。

宮崎駿監督の『風の谷のナウシカ』に「蟲笛」という笛が出てきます。主人公のナウシカが持っている、蟲を制御するための道具です。蟲笛は気流に当てると音を発し、蟲の怒りを鎮めることができます。ナウシカは、怒りに我を忘れた腐海最大の蟲「王蟲」を、蟲笛を使って森へ帰します。この蟲笛も、うなり笛の一種だと思われます。

私の庭には王蟲はいませんが、我が家は田舎にあり、家屋も庭に囲まれているため、家の中によく虫が入り込むことがあります。クモやムカデやダンゴ虫などです。彼らは益虫なので、殺すわけにはいきません。そこで、家に迷い込んで我を忘れたダンゴ虫を蟲笛を使って静め、森へ帰すことにしました。

「ダンゴ虫!! 森へお帰り ここはおまえの住む世界じゃないのよ」

ダンゴ虫の写真

蟲笛が効いたかは謎ですが、ダンゴ虫は森へ帰りました。

森へ帰るダンゴ虫の写真

おすすめの本

宮崎駿『 風の谷のナウシカ 全7巻箱入りセット』徳間書店

『風の谷のナウシカ』の原作漫画です。アニメーション映画しか見ていない方はぜひ読んでください!ストーリーが全く違います。話がもっと複雑でディープで大人向けです。全7巻ですが、第7巻が圧巻です。


豪華装丁本の2巻セットの方は、とても重厚感があり、古文書のように机の上に置いて姿勢を正して一ページずつ丁寧にめくって読む感じです。


坂根巌夫(1986)『新・遊びの博物誌〈1〉』朝日文庫

「アノモルフォーシス」「天上の音楽」「逆立ちからくり」「聴く時計」など、古今東西の芸術家や科学者たちの自由な発想が生んだ、愉快な遊びの数々を紹介した本です。「うなりの音具」についても載っています。この『遊びの博物誌』シリーズはロングセラーで、Kindle版も出ています!


皆川達夫 監修(1998)『楽器 歴史・形・奏法・構造』マール社

楽器事典です。古代から現代まで、世界各地のあらゆる楽器を網羅しています。写真ではなく図版で解説されているので、読んでいて疲れないです。機能・構造・特性・奏法・合奏形態がすべてわかる、楽器好きにとっては眺めているだけで楽しい本です。うなり木についても載っています。


琉球音階のウインドチャイムを作成!沖縄の竹富の風に演奏してもらいました!

ポニョの宗介の船がほしい!ポンポン蒸気船を作って、湖で走らせる

田中流ジブリクイズのやり方:日常会話にジブリのセリフを忍び込ませる!

最近静岡県で増えているチョウについて。企画展「静岡のチョウ 世界のチョウ」

企画展「静岡のチョウ 世界のチョウ」

ふじのくに地球環境史ミュージアムの企画展「静岡のチョウ 世界のチョウ」に行ってきました。静岡に生息する全種のチョウと、世界各地のチョウの標本が展示されています。(平成28年12月10日~平成29年3月26日)

ふじのくに地球環境史ミュージアム 企画展「静岡のチョウ 世界のチョウ」

ふじのくに地球環境史ミュージアム「静岡のチョウ 世界のチョウ」の写真

私はチョウが大好きです。特に好きなのはアゲハチョウ科のチョウです。小さいころから、アゲハクロアゲハの幼虫を飼育したり、観察したりしてきました。今は、バタフライガーデンを庭づくりの柱の一つにしています。

アゲハチョウ科は大型のチョウです。種類や個体によって大きさは違いますが、成虫はだいたい5センチから10センチくらいでしょうか。幼虫は刺激臭を放つ臭角を持ちます。幼虫の食草はそれぞれ異なりますが、ミカン科の植物を食べるものが多いです。

日本産アゲハチョウ科21種のうち、ギフチョウウスバシロチョウジャコウアゲハアオスジアゲハアゲハキアゲハオナガアゲハクロアゲハ、モンキアゲハナガサキアゲハミヤマカラスアゲハカラスアゲハの12種が静岡県に生息しているそうです。ギフチョウとウスバシロチョウは残念ながら見たことがありませんが、それ以外のチョウは私の庭にもよく訪れます。

「静岡のチョウ 世界のチョウ」より、静岡県に生息するのアゲハチョウ科の写真

「静岡のチョウ 世界のチョウ」より、静岡県に生息するアゲハチョウ科

標本で見るチョウは図鑑で見るチョウとは全然違います。光沢感や透け感、方向や光による色合いの変化など、写真ではどうしてもわからない部分があります。本物はあり得ないほどの美しさです。

展示の中で一番興味深かったのが、静岡県で増えているチョウです。静岡から消えたチョウや減少しているチョウがいる一方で、増えているチョウもいます。

「静岡のチョウ 世界のチョウ」より、静岡で増えているチョウの写真

「静岡のチョウ 世界のチョウ」より、静岡で増えているチョウ

最近、庭で見かけるようになった蝶

ここ数年、庭で作業をしていると、見かけないチョウを目撃するようになりました。ナガサキアゲハツマグロヒョウモンアカボシゴマダラです。以前は静岡県富士宮市で目撃するなんてまずあり得なかったチョウです。いるはずのないものが庭にいて、初めて見た時は興奮して我が目を疑いました。この展示で、やはり静岡県で近年見られるようになったチョウだったことが確認できました。

ナガサキアゲハ

ナガサキアゲハはアゲハチョウ科のチョウで、日本産のチョウでは最大級の種類です。モンキアゲハに似ていますが、後翅に尾状突起がないのが特徴です。シーボルトが長崎で最初に採集したため「ナガサキアゲハ」というそうで、江戸時代には九州以南にしかいなかったチョウです。それが静岡県の私の庭にも現れたのです!

庭のカラタチの木のまわりを舞うナガサキアゲハの写真

庭のカラタチの木のまわりを舞うナガサキアゲハ

アゲハチョウ科が好きな私にとってはうれしい北上でした。ナガサキアゲハの幼虫はミカン科の葉を食べるので、ミカン類の木がある私の庭に産卵に訪れたのだと思います。

ツマグロヒョウモン

ツマグロヒョウモンはタテハチョウ科のチョウで、漢字で書くと「褄黒豹紋」です。1980年代までは近畿地方以西でしか見られなかったのが、徐々に生息域が北上し、1990年代に東海地方でも見られるようになったそうです。そして、静岡県の私の庭でもよく見かけるようになりました!

庭のヒャクニチソウにとまるツマグロヒョウモンの写真

庭のヒャクニチソウにとまるツマグロヒョウモン

ツマグロヒョウモンの幼虫の食草は野生のスミレ類ですが、パンジーやビオラなどの園芸種も食べるため、近年の栽培量の増加と人為的な移動が北上の要因と考えられているようです。もちろん温暖化も影響しています。

アカボシゴマダラ

アカボシゴマダラはタテハチョウ科のチョウで、日本本土には生息していなかったチョウです。もともとは中国大陸や奄美大島に生息するチョウですが、違法に国内に持ち込まれた個体を元に意図的に放蝶されたものが定着・拡大しているそうです。静岡県富士宮市の私の庭でこのチョウを目撃した時は本当に驚きました。

庭を通過するアカボシゴマダラの写真

庭を通過するアカボシゴマダラ

最初はキアゲハかと思ったのですが、キアゲハにしては飛び方がおかしいです。ゆったりと舞っていたため、アサギマダラか!?と思いなおしましたが、色が全く違います。とにかく撮影してよく見た結果、アカボシゴマダラと判明した次第です。

「世界のチョウ」の展示もすばらしかったです。私のおすすめは、ミイロタイマイスカシシジミタテハウラモジタテハです。人智を超えたデザインです!絶対見に行ってみてください! or 絶対検索してみてください!

 おすすめの本

海野和男(2011)『図鑑 世界で最も美しい蝶は何か』草思社

私が尊敬する昆虫写真家、海野和男さんの本です。世界3大美蝶のミイロタテハ、モルフォチョウ、トリバネアゲハを中心に構成されています。これらのチョウを見るために中南米やアマゾンの奥地へ行くのは非常に困難なことなので、美しいチョウを図鑑で見ることができて感謝です。フランスの蝶収集家、マダム・フルニエのフルニエコレクションも載っています!

今森光彦(2014)『世界のチョウ』アリス館

私が尊敬する写真家、今森光彦さんの本です。里山・琵琶湖畔の写真家として有名な方ですが、オーレリアン(チョウを愛する人たちのこと)でもあります。巻頭の、アマゾン川流域を旅した時の話がとても印象的でした。私のおすすめのチョウ、ミイロタイマイ、スカシシジミタテハ、ウラモジタテハも載っています!

マジメかつシュール。「ふじのくに地球環境史ミュージアム」の常設展

バタフライガーデン:蝶が集まる花を植える

バタフライガーデン:蝶が産卵に来る植物を植える(アゲハチョウ科)

バタフライガーデン:蝶が産卵に来る植物を植える(アゲハチョウ科以外)

かわいいメジロが目白押し!みかんでメジロとヒヨドリを呼ぶ

 

梅の花が咲く1月中旬から2月にかけて、庭にはメジロがたくさんやってきます。

お目当ては梅の花の蜜です。メジロのもうひとつの大好物が果汁なので、梅の木の手前にあるツツジの枝に、半分に切ったみかんをさしてメジロにお裾分けしています。

メジロが訪れる梅の木の写真

メジロは、梅の花の蜜を吸って、みかんの果汁を吸って、と、梅の木とツツジの木の間を行ったり来たりします。

梅の蜜を吸うメジロの写真

みかんの果汁を吸うメジロの写真

梅にウグイスといいますが、梅の花+ウグイスの声が春を感じさせるということであって、梅の木にウグイスがくるわけではありません。ウグイスはふつう藪の中にいて、ほとんど目撃することはありません。私の庭にも、「ちょっと、うますぎない!?」と、いらしたお客様が会話を止めてまで言うほど鳴くのがうまいウグイスがいるのですが、残念ながら、このウグイスの姿は一度も見たことがありません。

多くの人は、ウグイス色というと、メジロのような明るい抹茶色を想像されるようですが、本当のウグイス色はもっと落ち着いた色です。ウグイスの体の色は、ぱっと見た感じではほとんど茶色で、よく見ると灰色がかった緑をしています。ウグイスもメジロもどちらもきれいな色です。

メジロは色もさることながら質感もすごくて、何素材!?と凝視してしまうほどです。

梅の木にとまるメジロの後ろ姿の写真

メジロには、お互いに押しあうように、ぴったりと枝に並ぶ習性があります。込み合っていることや物事が多くあることを意味する「目白押し」という慣用句は、ここからきているそうです。もふもふの体をぴったりくっつけて寄り寄りしていています。

メジロが目白押しの写真

エサ場では、ヒヨドリがメジロをよく追い払っています。体の小さいメジロは抵抗できません。たまにひどい追い立てられ方をしています。そんなわけもあり、我が家では、メジロを「メジロちゃん」と呼び、「ヒヨドリ」を「ヒヨ」と呼び捨てにしてしまっています。ヒヨドリも外ではきっと大変な思いをしているのでしょうが…。

「じょうのう(みかんの果肉が入っているふくろ)」のことを、静岡では「ほろ」と言いますが、ヒヨはみかんの果汁を吸うのではなく、ほろごと食べていきます。

みかんを食べるヒヨドリの写真

梅の花の蜜を吸って、みかんの果汁を吸って、たまにヒヨドリに追い払われ、枝の上で仲間とくっついて。メジロを見ていると、なんとも日本的な風景だなと思います。

梅の木に並んでとまるメジロ二羽の写真

おすすめの本

谷口高司(2013)『新・山野の鳥―野鳥観察ハンディ図鑑』日本野鳥の会.

写真ではなく絵の図鑑です。私が持っているのは1983年発行の3訂版ですが、絵が本当に美しいです。山野の鳥がコンパクトに載っています。薄くて軽くて、持ち歩くにも便利です。

ヤマケイハンディ図鑑7 新版 日本の野鳥 山溪ハンディ図鑑

写真の図鑑です。水辺の鳥と山野の鳥が両方載っています。厚くて重くて、部屋の中で眺めているとずっしりしあわせです。

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鳥の餌台を設置!ひまわりの種でヤマガラとシジュウカラを呼ぶ

庭にバードフィーダー(鳥の餌台)を設置し、冬の間、ひまわりの種をおいて野鳥を観察しています。

設置している場所は、縁側のすぐ向こうの庭です。

部屋の中や縁側から、訪れる野鳥を観察することができます。

下の写真の真ん中あたり、白い丸で囲ってあるのがバードフィーダーです。

バードフィーダの写真

縁側への出入り口のそばには、鳥セットを用意しています。

上はバードコール(鳥笛)、下は野鳥シートです。

バードコールと野鳥シートの写真

バードコールは木片と金属でできた筒で、こすり合わせた摩擦音で小鳥の鳴き声に似た音を出すことができます。

この音で鳥が集まります。

これを、小鳥の形をしたキーリングにつけて、巣箱型のケースに収納しています。

実はこのキーリング、ホイッスルになっています。

鳥笛に鳥笛をつけていることになります。

バードコールの写真

野鳥シートは日本鳥類保護連盟のものです。

下敷きタイプで、身近な鳥がB5サイズの両面にまとめられています。

壁につるしてあるので、見かけない鳥が訪れたときに、このシートですぐに確認することができます。

日本鳥類保護連盟の野鳥シート

餌は大粒ひまわりの種と黒ひまわりの種です。

餌の保管には、イギリスのバーゴン&ボール(Burgon & Ball)のBird Feed缶を使用しています。

BIRD FEED缶に入ったひまわりの種の写真

バードフィーダーには、大粒ひまわりの種と黒ひまわりの種のブレンドを置きます。

バードフィーダーのひまわりの種の写真

このひまわりの種を求めてバードフィーダーにやってくるのは、ヤマガラとシジュウカラです。

鳥は春から秋にかけては虫を食べるので、餌をあげるのは食べ物がなくなる冬の間だけです。

生態系を崩す心配、また病気の心配もあるので、餌のあげすぎには注意する、餌台は清潔に保つ、糞には絶対触らない、などのルールを作っています。

ヤマガラもシジュウカラも、同じスズメ目シジュウカラ科シジュウカラ属ですが、性格が全く違います。

我が家では、ヤマガラをモヒカン、シジュウカラをネクタイと呼んでいます。

ヤマガラは、頭の模様がモヒカンみたいです。

バードフィーダーにとまるヤマガラの頭の写真

よく言えば人懐っこくて賢いのですが、悪く言えば図々しくて行動が荒いです。

ものすごいスピードで飛んできて、いきなりバードフィーダーに着地します。

種の選び方もワイルドで、選び散らかして種を落としていったりします。

バードフィーダに着地するヤマガラの写真

シジュウカラは、黒いネクタイをしているように見えます。

バードフィーダーにとまるシジュウカラの写真

よく言えば控えめでお行儀がいいのですが、悪く言えば臆病です。

一番最初の写真にある、奥の梅の枝にまずとまり、その手前にあるツツジの枝に移動して、さらにその手前にあるブッドレアの枝に移動して、あたりを警戒しながらおそるおそるバードフィーダーに飛び移ります。

時々、まわりの気配にビビって種を落としていったりします。

種を落とす理由がヤマガラと180度違います。

バードフィーダーに乗るヤマガラとその様子をツツジの木の中からうかがうシジュウカラの写真です。

ヤマガラが去るのを待つシジュウカラの写真

なんか、性格がよく表れています。

どちらもかわいいですが、なぜかシジュウカラを応援してしまいます。

ヤマガラもシジュウカラも、種はバードフィーダーでは食べずに、くわえて近くの木に持って行きます。

木の枝の上で、足で種をおさえて、くちばしで殻を割って器用に中味を取り出して食べています。

枝の上でひまわりの種の殻を割るヤマガラの写真

おすすめの鳥グッズ

バードコール

鳥の声にそっくりな音が出ます。練習次第でかなり鳥の声に寄せることができます。

QUALY 鍵収納 キーリング Sparrow Keyring

これにバードコールをつけて保管していますが、本来は鍵をつけておくものです。色違いが何種類かあります。私が使っているのはブラウンハウス+ホワイトバードです。

ナチュラルペットフーズ 大粒ひまわり 500g

我が家に来る野鳥に大人気の種です。こちらの大粒ひまわりの種と下の黒ひまわりの種をバードフィーダに一緒に置くと、大粒ひまわりの種のほうが減りがはやいです。

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ナチュラルペットフーズ 黒ひまわり 500g

大粒ひまわりの種よりも小さくて細くて、おしゃれな種です。

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黄色でハッピーになる!旧正月と立春を金柑と水仙で祝う

2017年1月28日は旧正月でした。私は旧暦と新暦の両方で暮らしています。

子供のころから、桃の節句や七夕などの季節の行事は旧暦でお祝いしています。新暦の桃の節句には桃が咲いていませんし、新暦の七夕には梅雨で星が見られません。旧暦でないと、季節の行事に必要なアイテムをそろえるのが難しいのです。

旧正月はその年によって新暦の何日になるか違いますが、だいたい新暦の1月下旬から2月中旬のどこかなので、私は、立春と合わせて、この期間をふわっとお祝いすることにしています。旧正月は旧暦の1月1日またはそれから始まる数日間で、立春は二十四節気における第一節です。

中国では、旧正月(春節)に、新しい年の吉祥を祈願する縁起物が飾られるそうですが、その中でもポピュラーなものが、富をもたらすと言われる金柑の鉢植え、良い香りが幸せを運ぶと言われる水栽培の水仙、だそうです。

私は金柑と水仙を和風にアレンジして取り入れています。

金柑は、この時期、3センチくらいの実がたくさんなって、見ているだけで明るく豊かな気持ちになります。

金柑の木の写真

中国のように鉢植えを飾るのではなく、実を収穫して甘煮にして食べています。直径12センチの琺瑯のお鍋に、ヘタと種をとった金柑を20個入れ、砂糖75gとはちみつ25gと水100ccを加えて、アクをとりながら20分煮るだけです。

鍋の中の金柑の甘煮の写真

白湯に入れたり、ヨーグルトに入れたり、トーストにのせたり、いろいろな方法で楽しむことができる優れものですが、高温でシブくいれた緑茶のお茶請けとしてそのまま食べるのが私のおすすめです。お茶(日本茶)+みかん(柑橘類)のことを、私は静岡セットと呼んでいます。この静岡セット、緑茶のカテキン+柑橘のビタミンCで、風邪予防にもなります。

金柑の甘煮と緑茶の写真

水仙は、中国の品種ではなく、和水仙を水栽培にしています。

和水仙は庭のあちらこちらに咲いていますが、増えてあまり球根が密集すると、葉だけが茂り、花が咲かなくなります。そのため、何年かに一度掘り起こして植えなおしています。

群生する水仙の写真

その掘り起こした球根を水栽培にして部屋の中で育てています。陶器やガラスの器に石を敷いて、その上に球根を置いて水を少しはるだけです。水栽培というと、ヒヤシンスやクロッカスが思い浮かびますが、清楚で品があって格が高い和水仙もおすすめです。

水仙の水栽培の写真

和水仙の香りは、甘いのに甘ったるすぎず、清涼感があるのに涼しすぎず、絶妙なバランスの香りです。嗅ぐと幸せな気持ちになります。

新暦の1月2月は一段と寒さが増し、少し鬱々とした気分になりがちです。金柑と水仙の黄色を見て香りをかぐと気分が晴れます。黄色には気持ちを明るくしてくれる効果があるそうです。節分の豆まきや柊鰯も大事ですが、邪気除けの後は、黄色で明るい気持ちを取り込むのもよいのではないかと思います。

水仙の花の写真

おすすめの本とアプリケーション

月読君

月の満ち欠けと日本の旧暦カレンダーを表示するアプリケーションです。昔は旧暦カレンダーを見て手帳に月齢を書き写していましたが、今ではこのスマートフォン用の便利なアプリを使っています。

くらしのこよみ

二十四節気と七十二候に沿って更新される暦アプリケーションです。自然の変化を表す七十二候の言葉をベースに、写真、絵、俳句、読みものなどで構成されています。巻物仕立てになっていて、作りも美しいです。

松村賢治(2010)『旧暦と暮らす』文芸春秋.

2002年にビジネス社から出た単行本の文庫版です。世の中が、今ほど二十四節気や七十二候にフォーカスを当てていなかったころ、いち早く旧暦で暮らすことを提唱した本です。やはり旧暦の方がアジアのくらしに合っているかも・・・と、旧暦で暮らしてみたくなる一冊です。

ヨハンナ・パウンガー/トーマス・ホッペ(1997)『月の癒し』飛鳥新社.

私が意識的に月の暦で暮らすきっかけになった本です。月の満ち欠けに順じた暮らし方については、真偽のほどはわからず、なかなか評価が難しい本ですが、オーストリアのチロル地方の農家に伝わる知恵として読むとおもしろいです。体を大切にして丁寧に暮らそうという気持ちにさせてくれる読み物です。

どくだみ茶:夏至にドクダミを摘みとり、乾燥させ、半夏生にどくだみ茶を飲む

防虫・防臭にはローズゼラニウム!生ごみ堆肥を作る(2)

コンポストボックスに生ごみを入れていて気をつけなければならないのは、ハエと悪臭です。生ごみを入れるのは冬だけと決めているので、ハエも悪臭もそれほど気になりませんが、それでも何かもうひと工夫してみたいと思いました。

対策として最初に試したことは、すぐ近くにホワイトガーデンを作ることでした。白い花を咲かせる植物だけを集めた花壇です。白い花は強い芳香を放つといわれています。昼間に活動する虫を誘引するには目立つ色の花を咲かせると効果的です。でも、夜に活動する虫を誘引するには、色がカラフルでも暗闇で意味がありません。そこで、闇に映える白と強い香りで勝負しているそうです。

コンポストボックスの近くにホワイトガーデンを作ったら天然の芳香剤になるかも!と思いましたが、私が生ごみを捨てたい冬に咲いてくれる白い花はほとんどありません。結局、そこは白い花を楽しむための花壇になりました。

ホワイトガーデンの写真

次にトライしたのは、ショウガ科の月桃という植物です。シェルジンジャーやサンニンとも呼ばれ、日本では沖縄に分布している植物です。生の葉を置くだけで防虫効果があり、生ゴミの近くに置くと子バエの発生も減るといわれていて、沖縄の庭によく植えられています。

こんなに有用で、しかも大好きな沖縄の植物!と思い、月桃の花が咲くところまで想像して植えました。しかし、さすがの静岡でも越冬は難しく、冬には地上部は枯れてしまいます。夏になるとまた復活してくれるのですが、私が生ごみを捨てたい冬に葉が調達できないので、コンポストボックスの防虫用としてはあきらめ、別な場所に植え替えました。

月桃の写真

結局、コンポストボックスの隣にはローズゼラニウムを植えています。

ゼラニウムはよくヨーロッパの街で窓際にプランターなどで植えられている植物です。ヨーロッパでは厄除けのために、窓辺に赤いゼラニウムを飾る習慣が古くからあるそうです。また、茎や葉や花から出る香りが虫の忌避する匂いだと考えられていて、開け放たれた窓の外に飾ると、虫が入ってこないと思われています。

ゼラニウムに虫よけ効果があると言われていることは知っていましたが、コンポストボックスの隣に植えてみようと決心したのは、天敵昆虫と組み合わせるハエ防除対策として、ローズゼラニウムが有効であるという栃木県酪農試験場の記事を見つけたからです。

IPM を考慮したハエの計画防除技術の確立 – 栃木県

ローズゼラニウムは、名前の通りバラを思わせる芳香を持っているので、悪臭対策にもなります。でもこのローズゼラニウム、バラより安く簡単に手に入るからでしょう、”貧乏人のバラ”という不名誉な別名もあるようです。私にしてみたら、バラよりもバラ的な香りがするすばらしい植物です。

ローズゼラニウムの花の写真

おすすめの本

コンポストボックスを作るに当たり、私が参考にした本です。それぞれの生活に合った堆肥作りの方法が見つかります。

藤原俊六郎・加藤哲郎(1990)『ベランダ・庭先でコンパクト堆肥』農文協.

都会でできる堆肥づくりについて紹介した本です。実は都会は堆肥材料の宝の山だそうです。都会でトライするならこの本がおすすめです。

後藤逸男 監修(2012)『イラスト 基本からわかる 堆肥の作り方・使い方』家の光協会.

緑肥についても書かれていて、庭でトライするならこの本がおすすめです。シンプルでわかりやすい構成で、こんなときどうするんだろうという疑問がわいた時、逆引き的に使えます。

加藤哲郎(1995)『大判図解家庭園芸 用土と肥料の選び方・使い方』農文協.

やや専門的な内容で、堆肥の使い方に重点が置かれた本です。植物の特性や自分の育て方の特徴に合わせて、用土や肥料を選べるようになります。

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