今回の庭ノートは、スイスのジュネーブからです。モンブランを探してフランス領のサレーヴ山へ行ったお話です。
ジュネーブはスイスの西部、レマン湖の南西岸にある都市で、フランス語圏に属し、国連ヨーロッパ本部、国際赤十字など、さまざまな国際機関が置かれている街です。
私は静岡県富士宮市で生まれ育ったため、いつも富士山が身近にあり、日本一高い富士山を基準に自分の居場所を確認する習慣があります。
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そのため、知らない場所へ行ってまず最初にすることは、その土地で一番高い山を探すことです。日本国内を移動したとき、その土地のランドマークになるような山を見つけ、しかもそれが郷土富士だったりするとほっとします。
「アルプスの少女ハイジ」の22話に、デーテ叔母さんに騙され、クララの遊び相手としてフランクフルトに連れてこられたハイジが、おじいさんやペーターやヤギのユキちゃんと過ごしたアルムの山での生活が恋しくなって、山を探すというシーンがあります。
ロッテンマイヤーさんから厳しい指導を受け、慣れない都会の生活で息苦しくなったハイジを見て、クララはお屋敷の屋根裏に上がれば山が見えるかもしれないと教えてくれます。しかし屋根裏から見えたのは石の壁と屋根ばかり。ハイジはがっかりしますが、セバスチャンから高い教会の塔があると聞き、お屋敷を飛び出します。
困難の末、なんとか教会にたどり着いて塔に上るのですが、苦労して上った塔から見えたのはフランクフルトの街並みだけ。ハイジは失望します。どこを見ても建物ばかりで、ハイジが見たかった山や谷や木や草やお花畑はどこにもなかったのです。
東京で生活したときは、まさにアルプスの少女ハイジ状態でした。ハイジと同じ心境になり、富士山を探すために高い所へ行きました。教会の塔に走って上るのではなく、ビルの40階にエレベーターで昇りましたが。
建物ばかりでがっかりしましたが、関東平野とはこういうことなのかと驚きもました。唯一の救いは、ハイジと違ってはるか遠くに富士山の頭が見えたことです。自分が富士山の北東にいることが確認できました。
そんなわけで、初めてジュネーブを訪れて真っ先にしなければならないことは、この辺りで一番高い山を見つけてほっとすること、つまりモンブランを探すことです。
モンブラン(Mont Blanc)は、フランスとイタリアの国境に位置する、ヨーロッパアルプスの最高峰です。標高4810.9メートルで、富士山よりも高い山です。
曇っていたり、地元の方に聞いてもわからなかったりで、なぜかモンブランがどれか判明しないまま日にちが経ちました。そんな時、サレーヴ山へ行ってみるといいと教えてもらい、登ってみることにしました。教えてくれたのはセバスチャンではありません。
サレーヴ山(Mont Salève)は、ジュネーブ市街のどこからでも見える、標高1379メートルの縞々の山です。フランス領にありますが、ジュネーブから国境を越えて簡単に行くことができます。
私が滞在してした部屋からも見えます。
ジュネーブのコルナヴァン駅(Gare de Genève-Cornavin)から8番バスに乗って30分程度、終点のヴェリエ・ドゥアン (Veyrier-Douane)まで行きます。
バスを降りて、歩いてスイスとフランスの国境を通過します。「Téléphériqu du Salève」の標識に従って、ロープウェイ乗り場まで歩きます。
歩いて10分ほどでロープウェイ乗り場に着きます。ロープウェイに乗って5分ほどで山頂に到着です。
ロープウェイを降りたら、「パノラマ・デュ・モンブラン(Panorama du Mont-Blanc)」へ急ぎます。標識に、歩いて15分とあります。
地味に険しい道のりで、本当に15分で着くのか!?という感じです。
ちょうど15分でパノラマ・デュ・モンブランに着きました。しかし、雲がかかっていて、残念ながらモンブランを見ることはできませんでした。がっくし。
モンブランは見えませんでしたが、ロープウェイ乗り場の近くからは、ジュネーブ市街とレマン湖が一望できました。下の写真の真ん中あたりにレマン湖が見えます。その左側に広がるのがジュネーブの街です。自分がどこをどう動いていたのかわかり、塔の上の視点を得ることができました。
その後、モンブランがどれかようやく判明しました。なんと、滞在していた部屋から見えていました。知らないってこわいです。はるか遠く、山々の向こうに見える真っ白い山がモンブランだそうです。
ハイジごめん!屋根裏に上らなくても、教会の塔に上らなくても、サレーヴ山に上らなくても、自分の部屋からモンブラン見えてました。
自分がモンブランの北西にいることが確認できました。
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ハイジが山を探すのは、第22話「遠いアルム」です。