静岡県にある私の庭では、夏に、ニイニイゼミ、クマゼミ、アブラゼミ、ミンミンゼミ、ツクツクボウシ、ヒグラシが鳴きます。
特に庭の桜の木にはセミがたくさんとまり、種田山頭火的に言ったら「何が何やらみんな鳴いている」状態です。
※この写真を見て「どこにセミがいるの?」と思われた方のために、最後に答えを載せておきます。
セミの種類によって鳴き声が違い、ピークを迎える時期も少しずつ違います。そのため、セミの声のグラデーションによって、今が夏のどの時期かを知ることができます。セミの声がカレンダー代わりになるわけです。
しかも、セミの鳴き声は子供の頃の記憶とリンクしています。聴覚を通した記憶とはすごいものです。
セミの鳴き声と夏の経過について、超個人的な記憶をご紹介します。
※庭で録音したセミの鳴き声も載せますが、うまく音が拾えず、かすかにしか聞こえないものもあります。
夏休み第1週:ニイニイゼミがメインで鳴く
夏休みが始まり、「夏休みの友」をありえないスピードで終わらせている。
夏休み第2週:クマゼミがメインで鳴く
夏の午前中のイメージ。ラジオ体操に行って、妹と「あさりちゃん」や「タッチ」を観ている。
夏休み第3週:アブラゼミがメインで鳴く
夏の午後のイメージ。プールに行って、ガリガリ君を食べて扇風機の前でグダグダしている。
夏休み第4週:ミンミンゼミがメインで鳴く
夏休みも佳境に入り、ミンミンゼミのせいでお盆と終戦記念日の切なさが助長される。
夏休み第5週:ツクツクボウシがメインで鳴く
夏休みが終わりに近づき、親に世話を焼かれながら自由研究や読書感想文などの大物の宿題をやっつけている。
別格のヒグラシ
夏休みを通して朝夕の涼しい時間帯に鳴く、郷愁の代名詞。記憶の中では夕立とセット。
以上が静岡県にある私の庭の「セミの鳴き声カレンダー」になりますが、あくまでも大まかな印象であって、ずいぶん早い時期からツクツクボウシが鳴くこともあります。
近年は温暖化の影響か、クマゼミの鳴き声ばかりが目立つようになり、逆にミンミンゼミが減っているような気がします。
このように、セミの鳴き声と子供の頃の記憶がリンクしているのは私だけではないようで、「ちびまる子ちゃん」のまるちゃんのように、夏休みの宿題を8月31日まで放置しておくようなお子様だった人は、ツクツクボウシの鳴き声を聞くと今だに焦るといいます。