庭に雨量計(レインゲージ)を置いて、梅雨時に雨を楽しむようにしています。
私が住む東海地方は、平年、6月8日ころに梅雨入りし、7月21日ころに梅雨が明けます。
湿度が高く、気圧の変化が激しいこの時期は、体調不良が起こりやすく、越すのがとても大変な季節です。また、雨が多いので庭仕事も思うようにできません。梅雨明けの盛夏に必要な水を貯える大切な時期だとわかっていても、少し憂うつな季節です。
しかし、2008年に、NHKハイビジョン特集「ベス・チャトー 荒れ地で育む”奇跡の庭”」を見て、梅雨との向き合い方が少し変わりました。
べス・チャトー(Beth Chatto)さんは、「世界一のプランツ・ウーマン」と称されるイギリス屈指のガーデナーです。常に強い風が吹き荒れ、イギリスで最も雨が少ない過酷な土地といわれる東南部のエセックス州で、見捨てられた荒れ地を”奇跡の庭”に変えた女性です。
べス・チャトー(2010)『ベス・チャトー奇跡の庭―英国・グラベルガーデンの四季便り』清流出版
およそ2万坪の敷地で、世界各地から集めた2000種類もの植物を育てています。
特に、グラベルガーデン(Gravel Garden/砂利の庭)が有名で、乾燥に強い植物を集め、一切水やりを行わなくても信じられないほどの美しさを保っています。
これは、世界の植物の原産地、どんな植物がどんな地域で自生しているかを研究し、気候や土に合った庭づくりを模索した結果であって、土の種類に関係なく植物を適当に植えて効果的に石を配置したような砂利の庭ではありません。
この番組を観て、ないものねだりをせず、温暖湿潤気候である自分の庭の特徴をもっと楽しもうという気持ちになりました。
べス・チャトーさんが庭づくりを始めて以来ずっと続けていることに、一週間に一度、降った雨の量をチェックするという作業があります。庭に、金属の筒の上に漏斗が乗せてある雨量計を設定し、筒にたまった雨を、メスシリンダーに移して雨量をチェックし、記録しています。雨がほとんど降らない土地で庭を維持するために、とても重要なチェック作業です。
これを見て、私も雨量計を置いてみたくなりました。逆に、雨がたくさん降る私の庭では、どのくらいの雨水がたまるのだろうと思ったからです。
庭に置いたのは、リスが試験管を持っている雨量計(レインゲージ)です。リスは鉄鋳物で、手のひらに乗るくらいのサイズです。12センチ(5インチ)までのメモリがついた透明のアクリル管を持っています。
もっと本格的な雨量計もありますし、自分で作ることもできますが、正確に記録をつけることが目的ではないので、デザイン性の高いものにしました。
ツユクサやショウブなど、もともと雨が似合う植物が植えてあった場所があり、そこに、20×10×5センチのレンガを12個積んで、その上にリスを鎮座させました。
この勢いで百葉箱を設置したくなりましたが、レインゲージのとなりにガーデン用温度計を設置するにとどめました。
大雨・洪水警報が出た日などは、一日で雨水がいっぱいになります。
ベス・チャトーさんのように雨量の記録はつけていませんが、雨が降る量を以前より意識するようになりました。
長い時間降っているようでも霧雨でほとんどたまっていなかったり、短い時間なのに管から雨水があふれ出していたり、体感と異なる雨量であることも多く、いろいろおもしろい発見があります。